ネタ帳 | ナノ
  やってきた転校生 //




「えー皆も知っている通り、この間の地震の関係でこの学校に集団転入生が来ることになった。うちのクラスには、赤司を入れて三人入るからな。じゃあお前ら、挨拶しろー」
「えっと、始めまして!帝光中から来ました、黄瀬涼太っス!しばらくの間、お世話になるっスね!」
「じゃあもう一人はー…なんだ、遅刻か?」
「…あの、ここにいます」
「うわぁ!!あ、い、いたの…悪かったね、じゃあ黒子、挨拶を」
「はい。…同じく、帝光中からきた黒子テツヤです。よろしくお願いします」


リボーンから集団転校生の事情を聞いた次の日。
俺のクラスには、新たに二人転入生がやってきた。
(聞いた話によると、三日前にやってきた赤司くんもそのうちの一人らしい。諸事情で一人先にくることになったのだそうだ)
新しくきたのは、黄瀬くんと黒子くん…二人とも綺麗な人だなぁって思ってたら、黄瀬君の方は、なんとモデルさんだそうだ。
クラスの女子の歓声が半端ない。
黒子くんの方は、消えてしまいそうなほど影が薄くてびっくりした。
いきなり現れたようにすら見える…実際、先生は気付いていなかった。
なのに…なんだろう。
黒子くんとは、なんだか初めて会ったような気がしない。
逆に…三日前に来たはずの赤司くんの方が、初対面のような気すらするのだ。
なんだろう、気持ち悪い。
無人の赤司の席を振り返って、得体の知れない悪寒が背筋を這った。









「継承式…ね」
「何が言いたいかわかるだろ?」
「つれないな、恭。久々に再会して、そんな話題かい?」
「感動の再会なんて柄だっけ?」
「冷たいな、いいよ、お前の意見は聞かないから」
「っと…」

同時刻、応接室。
昨日と同じく赤と黒が揃っているが、赤司の方は本物の赤司である。
黒子と入れ替わり済みであるため、これが本当の再会だ。
赤司が入ってくるなりボンゴレの継承式の話を持ち出したのだが遮られ、挙句赤司が雲雀に抱きついている。
テーブルを挟んで向かいのソファーに座っていたはずなのだが、それも軽々と飛び越えてソファーに倒れこんでいる状況だ。
赤司が押し倒しているような形だが、雲雀も特に慌てた様子はなく、慣れたように身体を起こして二人で一つのソファーに座り、恋人のように身体を寄せ合っている。
こうして直に顔を合わせるのは何年ぶりだろうか。
二人が今のキセキの元となる組織を形成し、紫原、黒子といったメンバーが集まった時点で、雲雀はキセキから離れることとなった。
今のように一箇所に落ち着くまで、互いに活動範囲は世界規模であったため結局一度も会えていなかったのだ。
出会ったのは一桁の年齢の時だった。初めて懐に入れた他者だった。互いに特別な存在だった。
会いたかった。話したかった。触れたかった。
言葉に出来ない感情が溢れて、二人とも、何を言うまでもなくただ隣に寄り添っていた。
電話越しでも画面越しでもない確かな距離に、ああ、やっと会えた、そうどちらともなく零して、昔のように純粋な笑みを浮かべた。






prev|next
[ 5/5 ]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -