ネタ帳 | ナノ
  そして赤司様のふりをした黒子くんが転入してくる //

「なぁツナ、聞いたか?今日転校生来るんだってよ」
「えっ?こんな時期に?」
「朝職員室行ったら言ってたぜ!」
「へぇ…珍しいね…」
「十代目!十代目に何かしてきたら俺がシめるんで、安心して下さい!!」
「いやいや!!これっぽっちも安心できないよ!!」


今日も並盛中学校は騒がしい。
彼らトラブルハンター三人組(雲雀命名)もそれに漏れず、転校生の噂で盛り上がっていた。
とはいえ、チャイムが鳴り先生が入ってきたことにより会話は中断されたのだが。
普段よりそわそわとしている生徒達に苦笑を漏らし、担任はドアに向かって声をかけた。
「赤司、入ってきてくれ」
「はい」
低めの落ち着いた声と共に、転校生が入ってくる。
…途端、教室の空気が変わった。
赤い髪と不思議なオッドアイを持つその転校生が、一瞬にして全員の視線を奪ったのだ。数人が思わず息を呑む。
その容姿は、確かに美しいと思う。文句なしの綺麗さだ。だが、これはそんなものではない。いくらとびきりの美少年といえ、このクラスにも女子の人気を独占する人間は数人いる。それでも皆、吸い込まれるような感覚を味わったのだ。

影に隠れて監察していたリボーンは呆然と呟く。
「…なんてカリスマ性だ、アイツ」
これは、獄寺や山本より、むしろ雲雀に近い。彼も異常なカリスマのある存在だ。でなければ、やりたい放題にも関わらず、あれだけの崇拝を集められるはずがない。
要注意だな…と警戒する。味方になるならいい。だが、雲雀のように自由にされると困るのだ。実際、この街では大組織であるはずのボンゴレより雲雀個人の方が圧倒的に強い圧力をかけられる。
これ以上操作出来ない人間が増えると困る。
そんな心配を余所に、彼は王者然とした空気を纏ったまま自己紹介を始めた。

「帝光中からきた、赤司征十郎だ。よろしく」
赤とオレンジの瞳が教室中を見渡す。最後に薄っすらとした笑みを落として、口を閉じた。




転校生の入ったクラスの様子を応接室の窓から眺め、雲雀は笑う。
「来たね…」
滅多に見せない、愉悦に塗れた笑みを零して、傍に控えていた草壁に視線を移す。
主の本性が垣間見えるその姿に戦慄しながらもただ黙って命令を待っていた。
「草壁…適当な理由をつけて、怪しまれないように彼を連れてこい」
リアリストで快楽主義。
雲雀はそんな二面性を持っている。現実主義だけれど、楽しいことは何だって好きなのだ。
「早く来なよ、"黒子"…」

一人、赤司の雰囲気に飲まれていない生徒が窓から外を見ていたのを知っている。彼が、自分の笑みを見てしまっていたことも何もかも見越して、それを悟らせないように身を翻した。
最近自分に懐いているらしい、強かったり弱かったりする不思議な小動物。彼になら、自分の秘密を一足先にばらしてしまってもいいかもしれない。そこまで考えて、馬鹿らしい、とまた一人笑った。



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