02


そう言われて、沖田はしぶしぶ立ち上がる。
自分の破壊したコンクリートの残骸の傍まで歩いていき、そっとしゃがみ込むと手のひらをそこにかざした。
一瞬、沖田の眼が鋭く細められる。
辺りの空気が凪いだ。
そして……ゆっくりとコンクリートの残骸が溶け出す。
思わず千鶴は悲鳴を上げた。


「きゃあ!こ、コンクリートが!」
「あー、落ち着けって千鶴」
「案ずるな、総司が溶かしているだけだ。あれは火属製の魔法。凄まじい高温の炎を生み出し、コンクリートを溶かしているのだ」
「え?でも…沖田先輩って、風属性じゃないんですか?…あ、もしかして、第二属性が火ってことで…」
「いや、総司の第二属性は水だ。…平助から聞かなかったのか?総司は、全ての属性を操れる…故に、火とて例外ではない」


話しているうちにも、沖田はどんどんとコンクリートを融かしていき、遂に全てが液体状となってしまった。
それを眺めた後、パチン、と指を鳴らす。
すると、融けたコンクリートが独りでに動き、元に戻っていった。


「はい、終了」
「す、凄いです…」
「全く、平助ってば、見てないで手伝ってくれたらよかったのに」
「その程度なら手伝う必要ないだろー?」
「えっと…」
「……つまり、先ほど総司が行った術は、土属性の魔法だということだ」


起こる出来事一つ一つに驚く千鶴に、斎藤は律儀に説明していく。
少し話しただけでも、斎藤が博識だということはよくわかる。
彼は、驚くほどたくさんのことを知っていた。
そして、沖田にも負けない魔法の腕前…。
千鶴は、学園でも指折りの存在であるだろうこの二人に教えてもらえることをありがたく思うのと同時に、くすぐったい気持ちになる。
平助と、沖田と、斎藤。
自分の周りにいる優しい存在に、とても温かい気持ちになった。


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