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魔法には三つの種類がある。
戦闘を前提とした攻撃系、戦闘の援護や創造を司る援護系…別名創造系、そして、医療技術に発達した回復系である。
ここ、薄桜魔法学園高等部では、この三つの魔法に加えて、魔法の歴史や普通の高等学校で習う内容を学んでいるが、主に実用性を重視しているので大抵の授業が攻撃系援護系回復系の魔法の授業である。
光属性であり、援護系や回復系の魔法に強いとわかった千鶴は、今現在難敵である攻撃系の授業を受けていた。


「よし、じゃあまず、初歩的なヤツからいくか!一番やりやすいのは火属性だな…火のやつ手を挙げろ〜」


一年の攻撃系担当である永倉が、簡単に説明していく。手のひらに小さな炎を出現させ、それをぶつけるというものだ。皆、悪戦苦闘しながらも次々に成功させていく。火、水、風…と続き、次は光属性の番になった。


「光のやつも大体は同じだ、手のひらに光球を生み出せばいい」


ゆっくりと意識を集中させる。小さく呪文を唱えると、小さな光の粒が集まって、だんだん形を成してきた。千鶴は、ゴクリと唾を飲み込み、更にその光球を大きくしていった。


「で、出来た…」


思わずため息が零れる。まだまだ小さく揺らいでいるが、ちゃんと安定した光球である。
それに気付いた永倉が、千鶴の方に歩いてきた。


「お!出来たじゃねーか、確か、転入生の雪村だったよな?攻撃系は苦手って聞いてたが、とりあえず初段階はクリアだな」
「はい!…ありがとうございます!」


攻撃系魔法では、初めての成功だった。
何度も平助に教わり、ようやくの完成だ。


「平助君、やっと出来たよ!」
「よかったじゃん!この調子で頑張れよ!」
「うん!」


まるで自分のことの様に喜んでくれる平助に、自然と笑みが零れる。
平助のコロコロと変わるその表情を見ていると、千鶴の胸中に、なんだか暖かいものが込み上げてきた。


「ありがとね、平助君」
「気にすんなって、攻撃系は得意だからさ、いつでも教えてやるよ」
「うん…ねぇ、もっと上手くなるにはどうしたらいいかな?」
「そりゃ、やっぱ努力しかないんじゃね?……あ、何なら一君に教えてもらえよ」
「…斎藤先輩?」
「そう、一君は学年首席だからさ、教えるのも上手いし。俺が頼んでやるよ!途中編入だから、覚えること多くて大変だろ?」


確かに、途中から入ったためこの数ヶ月分は抜け落ちている。勝手もわからない魔法では、独学で修得するには無理があった。
平助の誘いは、渡りに船である。


「うん…じゃあ、お願いしてもいいかな?」
「おう、任せとけって」






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