01



昼休みの屋上。
千鶴は、平助に連れられて、ここに来ていた。
平助は、いつもここで先輩たちと食べているらしい。


「いいの?私もお邪魔しちゃって」
「いいっていいって!俺が連れてきたんだし、嫌な顔はされねえよ。…一人は、多分、だけど」


明るく言った後、しまった、というように視線を逸らす。
(やべぇ、アイツ、女嫌いだったって忘れてたや、ったく、そんな態度全然見せねぇからさぁ…)
などと、ぶつぶつ言っている。
どうやら、これから来る先輩達の一人は、女嫌いらしい。
本当に大丈夫なのだろうか…。
千鶴が不安になり始めた、その時。


「すまない、平助。待たせたな」
「あはは、ごめんね。購買混みまくっててさぁ…」
「その中に、笑顔で入っていって、周りを脅して買ってきたのはどこの誰だ…」


屋上のドアが開き、二人の男子生徒が入ってきた。
そのうちの一人を見た瞬間、千鶴は思わず、あ!と声を上げる。


「お、沖田先輩…?」


さらさらと揺れる茶髪。透き通った翡翠の瞳。やけに整ったその容貌。そして、真意の読めない悪戯っぽい笑顔。
間違いなく、昨日千鶴を校長室まで連れてきてくれた、あの青年だった。


「…あれ?なんで千鶴ちゃんがここにいるの?」
「へ?千鶴って、総司と知り合い?」
「総司、平助。そいつは誰だ?」


三人が、順序良くそれぞれの疑問を口にする。
四人は、一様にその場に立ち尽くしている。
その空気に耐え切れず、千鶴は思わず的外れなことを口にしてしまった。


「と、とりあえす…座りませんか?」
「………」
「………」
「………」
「………すみません」


とりあえず、謝っておく。
三人の沈黙が、思いのほか痛かった。


「ぷっ…く、くくく………あっははははは!!!!」
「……へ?」


突然、沖田がお腹を抱えて笑い出す。
手にしていたパンとジュースは、下に落ちてしまっていた。
それでもなお、沖田は笑い続ける。


「何なの君、おもしろすぎ!あははははは!!」


最早、大爆笑。
地べたに座り込んで、目に涙を浮かべて笑っていた。
何がどうツボったのか、皆目検討もつかない。
彼のおかげで、先ほどまでの空気は綺麗さっぱりなくなってしまっていた。
平助ともう一人の先輩も千鶴も、顔を見合わせた後、小さな笑いを溢した。


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