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「待って…葵、話を聞いて!」
「嫌、もう総司なんか知らない!言い訳なんか聞きたくない」
「葵…っ、」

その日、薄桜学園は朝からかなり騒がしかった。
皆ざわざわとして、我先にと校門の方へ駆け出していく。
その理由というのが、なんとも言えないもので…学園一有名な美形カップルの喧嘩、だった。
沖田総司と雪村葵。
容姿端麗で、前年度剣道インターハイ優勝コンビ。
飄々としていて掴み所のない沖田と、クールでシニカルな葵。
そんな一癖も二癖もある性格の二人は、よくも悪くも学園の人気者であった。
特に、沖田の方は葵にベタボレという程の執着ぶりで、とにかく葵を溺愛していた。
故に、とんでもなくモテるにも関わらず、葵以外との浮いた噂は一つとして聞かない。
それは、葵も同じだった。
そんな二人が、一体どんな理由でここまで派手な喧嘩になったのか…。


「浮気したくせに、よくそんなことが言えるわね…!」
「葵…ごめ…」
「ごめん!?謝ってどうするの、許して欲しいって?」
「葵…葵っ、」
「大っ嫌い!二度と私に近寄らないで、あの子と付き合えばいいでしょ!」
「許して…葵お願い、もう二度としないから、許してっ…!!」


皆、思わず唖然となっていた。
浮気…?
あの、葵馬鹿の沖田が…?
そんな顔で二人を見つめている。


「おい、一体何の騒ぎだ」


さすがに騒ぎが大きくなりすぎたのか、不機嫌さを丸出しにした土方がやってくる。
その雰囲気に、野次馬に集まっていた人は思わず道を開けた。
土方は、騒ぎの元凶があの二人だと知ると、大股で二人に近づき、その頭に思い切り拳をぶつけた。


「「いっ…たぁ――!!!」」
「テメェら、何やってんだこんなとこで!」




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