「わりい土方さん!寝過ごしちまった!!」
「原田!総司!てめえら、今日はお得意さんが来る日だから遅刻厳禁だっつっただろ!1と2がいなくてどうすんだ!」
「だから悪かったって言ってるじゃないですか、時間ないんで着替えてきますよ」
「おい総司!」
店に着くなり、一番に飛んできたのはやはり土方の怒声である。
それに原田は申し訳なさそうに謝罪するが、沖田は素知らぬ顔で店の奥へと消えていく。
それに苦笑しながら、原田は土方に向き直った。
「ほんとすまねえな、俺も着替えてくるわ」
そう言って、土方の横を通ろうとする。
だが、それは土方本人に阻まれたため、叶わなかった。
「おい、原田」
「あ?どうした、土方さん」
「お前ら、昨日…いや、今日か。今日は一緒に過ごしてたのか?」
それは、つまり。
ヤったのか、という遠まわしな質問で。
「…まあな、誘われちまったもんだから」
「ったく…あいつは節制ってもんがないのかよ」
「その台詞、アイツも俺らだけには言われたくねえだろうよ」
そう言って笑うと、土方はため息をつきながら道を開ける。
すでに着替えてきた沖田と入れ替わりに、原田は奥へと消えていった。
「着替えたか?」
「見ればわかるじゃないですか、そんなのもわからないなんて、そろそろ危ないですよ土方さん」
「てめえ…」
「で?もう来てるんですか、あの人は」
「…ああ、今は斎藤が相手してる」
「じゃ、そろそろ交代ですね、いってきます」
「おい、総司…上手いことご機嫌とってこいよ」
「……土方さん、誰にモノ言ってます?」
騙して虜にさせるのは、僕の得意分野。
世間知らずのお嬢様くらい、骨抜きにして貢がせてみせますよ。
不敵な笑みを浮かべてそう言うと、沖田はフロアへと足を運んだ。
さあ、今日も嘘と偽りで塗り固められた甘美な恋愛ゲームが始まる…