勇者土方の鉄拳が炸裂したところで、二人の口論はとりあえず収まる。
土方はため息をつき、事の次第を説明しろと要求した。


「一体、何が原因でこうなった」
「………総司の浮気、ですよ」
「…………」
「はぁ?浮気?総司が?」


思わず、くわえていた煙草を落としそうになる。
それほどまでに、名前の発言は衝撃的だった。
いつもいつも名前に引っ付いて離れない、名前馬鹿のこの沖田が…浮気?
そんな顔をしている。
だが、名前が泣きそうな顔をしているのも事実。
土方は、ため息を付きながら沖田に言った。


「お前な…なんで浮気なんかしたんだよ」
「土方さん…僕が、浮気したって信じるんですね…?」
「は…?」
「土方さんなら、信じてくれると思ったのに…っ、このままじゃ、僕…」
「いやおい、ちょっと待て…」
「ふ、ふふ…」
「…………?」

いきなり笑いだす名前。
その手には……目薬、があった。

「おい…ちょっと待て、お前らまさか…」
「うし!私の勝ち!というわけで、総司は今日から一週間、私の奴隷ね」
「土方先生のせいだ!なんで信じてくれないんです、僕が浮気とか…名前ちゃんが二人いない限り、するわけないでしょう!!」
「ふっ、言い訳は見苦しいよ総司くん。だから言ったでしょ、土方先生は私達の演技に絶対騙されるって」
「最悪…土方先生なんか嫌いです!元々好きじゃないですけど!」
「………」

つまりは、こういうことなのだろう。
沖田と名前は、自分達の演技で土方が騙されるかどうかの賭けをしていて、それに土方はまんまと騙された、と。
あまりの馬鹿馬鹿しさに呆れてため息も怒鳴り声も出てこない始末である。
土方は、全身全霊すべてをかけて、二人の頭に拳を叩き込んだ。

見物人達は、一様に大声で叫ぶ。



「「「まぎらわしい!!!」」」

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