5
手術室のランプが灯る。 あの後、到着した救急車で病院に運ばれた雲雀とツナは、それぞれの処置を施されていた。 治療が終わったらしい雲雀は、手術室の前の椅子に座っている。 幸い、左腕は骨折を免れていた。 骨にひびが入っているだけで済んでいる。 大事をとっての入院はしなければならないが、それでも軽症なことには違いない。
だがツナは……
(僕が、守ってやれなかったから…綱吉は……) 罪悪感が胸を締め付ける。
「ごめん、綱吉…ごめんっ」
無意味だとはわかっていても、口に出さずにはいられない。 何のための謝罪なのか。 守ってやれなかったことに対してか、自分が弱いことに対してなのか。 それこそ、無意味なのに。
哀しい懺悔は、手術室のランプが消えるまで続いた。
ふっ、とランプの光が落ちる。 雲雀はすぐに扉に駆け寄った。
「っ綱吉は!?綱吉は大丈夫なの!?」 「落ち着いて下さい。手術は成功したから、もう大丈夫だすよ。しばらくは絶対安静だですが…」 「よ、かった……綱吉…っ綱吉!!」
不思議と、涙は出なかった。 安堵のあまり、涙も引っ込んでしまったらしい。 その日、雲雀はツナの隣の病室で眠りについた。
月の綺麗な、夜だった。
|