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まず、雲雀恭弥。 風紀委員長でありながら、不良の頂点に君臨し、気に入らない奴は咬み殺すもとい隠しトンファーでボコボコの半殺しにするという恐ろしい人。 さらには裏社会にまで名が通っており、その権力は殺人を揉み消せるというほど。
…………絶対に敵には回したくない種類の人間である。
次に、ラミア=ウィザートゥ、アストー=ウィザートゥ。 パッと見は容姿端麗な、いや人外なまでに容姿の整った激美少女と激美少年なのだが、とりあえず、人間ではない。 この世界の頂点に立つ「最強種」の中の最強種、吸血鬼なのだ。 しかも、ただの吸血鬼ではなくその吸血鬼と最強種をまとめあげる存在。
"真祖の吸血鬼"――… ゲームでいうバグキャラに近いほど最強な者なのである。
そして通称「血濡れの月光」。
「満月を見たければ"月光"を敵に回すな」 「明日の陽を拝みたくば"雲雀恭弥"に道を開けろ」
こんな暗黙の了解があるくらいなのだから、彼らが"マトモ"であるはすがない。 呑気にティータイムを過ごしているような彼らが、である。
アストーが五杯目の砂糖に手を伸ばした時、応接室の扉が勢いよく開いた。
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