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「それで?こっちにはいつ戻ってきたの?」
応接室。 黒い革張りのソファーに腰掛け、コーヒーを飲みながら目の前の二人に問い掛ける雲雀。 右側に座る髪の長い方、双子の姉であるラミアが手に持ったカップをかき回しながら答えた。
「ちょっと前かな?多分、2日…くらい前」 わずかな微笑すらもため息をつきたくなるほど美しい。 隣に座るラミアと同じ顔をした、同じくため息をつきたくなるような美貌を持つ少年、アストーがその後を続けた。
「イギリスから直で帰ってきたんだぜ?褒めてくれよ、恭弥」 ニヤッと口元を歪めた。 その姿さえも絵になってしまう。 不敵な笑いがこの上なく似合う幼なじみに苦笑しつつ、雲雀はアストーのカップにおかわりを注ぐ。
「そう、お疲れ。ミルクはいるかい?」 「あ、いるいる。たっぷりな」 「アストーは甘党だからなぁ…」 なんて和やかな会話を交わしてはいるが、この中にまともな人間は誰一人としていない。
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