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名頃会のみなさん
(ご飯ネタ多いです)
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名頃会の休憩時間にて─まじ卍─

「最近の流行りは解らへんなあ。関根くん……『まじ卍』って何やねん」
「はは、確かに。学生の多い仕事先で聞きますけど……。大岡くん達もふだんは使てるんとちがいますか」
「あの二人は年の割にしっかりして──」
「「まじ卍ー!」」
「………。」
「お、大岡くん、どないした……?」
「関根さん。これクラスの子が使てはったんです。伊織は変な顔してましたけど」
「君も、珍しい言葉遣いやなあ」
「鹿雄先生、これ沖野ヨーコちゃんと仲のいいモデルさんが使てはって……」
「あ、あんなあ……二人共。名頃先生がこの世の終わりみたいな悲しそうな顔してはるからまじ卍はほんっまにやめてや……」

追記


雛祭りの話

「先生、この間雛飾りを押入れから出して、飾るのをお手伝いしたんです」
「へえ……。うちは生憎女っ気がない家やったからなあ。前に今ぐらいの時期に君の家にあがったときやろか……大きい雛壇があったのを覚えてるわ」
「向かって右が男雛、左が女雛やって教わったのですけど、家政婦さんは逆に並べはったんですよね」
「……家政婦さんはこの辺の人?」
「いえ。ご実家が関東にあるそうなんです」
「関西と関東とは男雛と女雛の並びが逆らしいから、そのせいかも知れへんな」
「だから……。」
「そう言えば昔君が雛壇を仕舞うときに、せっかく飾ったからずっと出しておきたいって言うて駄々をこねてたのを思い出すわあ」
「そんな事云うてました?」
「うん。雛壇に飾ってあった女雛と一緒に隠れんぼして」
「あ……思い出してきました」
「早くしまわないと嫁に行かれへんようになるでって俺が云うたら──君何て云うたと思う?」
「せんせに……?」
「『先生をお婿さんにするから問題ありません』やって」
「え!?」
「あんときは笑ったわ。はは、いつお婿さんに迎えてくれるんやろな」
「もう忘れてください………」



寒椿と雪と

ほぼ140字の短文です。名頃先生目線。流行りのSSメーカーを使ってみました。
イラストもアルバムの方にあります。
追記


霜柱(小さい夢主)

「せんせ、名頃せんせ。雪も降ってへんのに、お庭の畑がまっしろです」
「おお、霜柱やなあ。最近は冬でも暖かくなってきたからあんまり見いひんようになったけど……どれ」
「しもばしら……」
「ここ踏んでみ」
「畑踏んでもええんですか」
「今は何も植えてへんから」
「…ぱりって音がしました」
「ええ音するやろ」
「はい。……私の家には何で霜柱出来へんのでしょうか」
「君の家の庭は石庭やからな」
「石のお庭には霜柱は来てくれへんのですね……」
「そうやなあ……。あ、待ち。もう一つあるわ。霜柱」
「もうひとつ?」
「一寸目閉じて、口だけ開けて」
「……甘いです」
「噛んでみ」
「……しゃりっとして、とけました……」
「その菓子の名前も、霜ばしら云うんや。箱ごとあげるからお家に持って帰り」
「おおきにせんせえ……!霜柱のおすそわけですね」
「面白いこと云うなあ。……まあ、そんなところやな」
「……お庭に撒いたら霜柱出来ますか?」
「出来へんから食べてしまいなさい」
追記


おしるこ

「すみません、鹿雄先生。少しだけ席外します。誰か探していたら台所に居るって伝えて下さい。火使うのでちょっとかかるかもしれませんが……」
「うん。分かった」

「わ、ええ匂いするやん」
「関根さん」
「今日はおしるこか、美味そうやな〜。お餅ある?」
「ええ。近くの和菓子屋さんからつきたてを買うたので。少し焼いて、入れてから持っていこうかと……。塩昆布も添えて」
「味見しよか?」
「関根さん、食べたいだけですね」
「ばれたか」
「……ああ、関根くんここにおったか。さっき石角さんが探してはった」
「あ!分かりました、すぐ行きます」
「……。」
「……鹿雄先生、ほかに何かご用です?」
「いや、用らしいことは無いけど……。あんこのええ匂いがするなあ思て」
「先生、餡好きですからね」
「そうやな……」
「甘酒入りも作ったんです。紅葉ちゃん喜ぶかと思て」
「ふうん…」
「一口召し上がりますか」
「ええの?!悪いなあ」
「根負けしました」
「うん。美味しい。こっちももう一口」
「名頃先生やっぱりここに……。探したんですよ」
「むぐ、はるい(わるい)」
「……紅葉ちゃんも一口食べる?」
「食べる!」
「(このお鍋の中身、半分は残るかな)」
追記


クリスマスのおはなし

絵本並みの短さです。名頃先生へプレゼントを届けに行く。
追記


褒められる先生

「先生、今日もお稽古有難う御座いました」
「お疲れさん。……それにしても、今日はよう札取れてたなあ。関根くんからあんなに取れたのは、初めてやないか」
「見ていてくださったんですね」
「そら勿論。日頃の練習の成果やな。偉い偉い」
「……先生は、いつも私達を褒めてくださいますけれど、先生のことは、いつも誰が褒めてくださるのですか」
「面白いこと云うなあ。俺はもう大人やし今更褒められるとか……」
「誰も褒めてくれへんのですか……」
「うーん。そう聞くと寂しいもんやな。そうや、君が褒めてくれるか」
「いいんですか」
「うん。さあ、いつでもええよ」
「……鹿雄先生は」
「俺は」
「いつもお庭に欠かさずちゃあんとお水を撒いて、お家を開けて弟子を待っていてくれはります」
「……」
「かるたのお稽古を毎日して、弟子の面倒も見て、この中で誰よりも偉いです」
「ほう」
「頑張るとたくさん褒めてくれはります」
「うん」
「屈んでください」
「屈む?なんで」
「頭を沢山撫でます」
「それは、恥ずかしいわあ……」
「しゃがんでください」
「はい……」
「先生はすごい人です。偉い人です。……」
「……」
「みんな、先生が大好きですよ」
「…………おおきにな」
追記


編み物

「関根さん、机の上少し場所頂いても宜しいですか」
「おう……ってえらい量の毛糸玉やな。二人共どないしたんこれ」
「紅葉ちゃんと買うてきたんです。今日は一粒万倍日ですので、お買い物したりするのにええ日ですから……」
「今からマフラー編んでも、間に合わへんとちゃうか。大岡くんはあれか、例の服部とかいう子に渡すんやろ」
「関根さんには教えません」
「何で?ええやんか、隠さんでも」
「……マフラーは冬の間には流石に間に合わへんと思いますけど、ブローチとか、お小物やったらそんなに時間掛けずに編めますから」
「ふうん」
「関根さんもやらはります?私も紅葉ちゃんも余分にかぎ針持っていますから」
「ややこしそうやし、見てるだけでええわ」

「へえ、器用なもんやな」
「紅葉ちゃんのほうが編むのが上手なんです。目がきれいで……」
「慣れたところは出来るけど、新しい模様は本やと分からへん事もあるから。……今、二人で名頃先生の手袋編んでるんです。うちが左手」
「私が右手です」
「僕のは?」
「……」
「……」
「なんか言うて」

「ん?名頃さん。えらいかいらしい手袋したはりますね。桜色の……」
「矢島くんよう気がつくなあ。これ、弟子から貰たんです」
「……両手とも指が6本」
「はは、余分に編んでしもたらしいわ」
「これから、指もう一本生やさなあきませんね」
「……君も冗談いわはるんやな」
「人並みには」
追記


いい兄さんの日

「はあー……。最近仕事多いし、休みは少ないししんどいわあ……」
「関根さん、肩揉みましょうか?」
「へ?」
「さあさあ、私の前に座ってください」
「いや、えっ……?そら肩は凝っているけど……」
「関根さん、冷たいお茶とコーヒー、どっちが宜しいです?」
「コーヒー……。いや、大岡くんも中大路くんもどないした?……欲しいモンならまず名頃先生に強請り」
「いいえ。今日は"いい兄さん"の日なのでたまにはうちらも関根さんを労ろうって話していたんです。だから……」
「いい兄さんの日……」
「私や紅葉ちゃんにとって、関根さんは兄弟子で……つまり、私達にとってええお兄さんです。そう思ったら駄目ですか?」
「……もー、しゃあないなあ。皆に甘いもんでも買うてこよか。行くで」
「わあ…っ有難う御座います…!」
「流石うちらのお兄さんです」
「照れるから。止め止め」

「新商品美味しそう、鹿雄先生喜ばはるわ……全部一種類ずつ欲しいくらい。……お兄さん」
「分かった。すんません、ここの棚の一種類ずつ」
「あ。かりんとう饅頭があるよ、紅葉ちゃん」
「美味しそう…。お兄さん……」
「これも全部。……あれ、僕はめられたかな」
追記


風邪引き

「今は春べと咲くやこの花……。嵐吹く…三む……こほっ──すみません、もう一度お願いします」
「──ん、風邪?」
「関根さん、すみません…。昨日から喉が痛くて……」
「喉ガラガラやな。今日はもう声出さんほうがええんとちゃうか。読み上げ機借りてくるから」
「紅葉ちゃんも、ごめんね。私の方からやらせてって云ったのに」
「かまへんよ、大事にしてね。うち、のど飴あるからこれ食べて。柚子味好き?」
「うん、好き。ありがとう」
「明日には良うなってるとええけど……」
……

「(余計に悪化して声が出ない……。挨拶もできへん…先生のおうち来たけど、まずはインターホン押して気付いてもらわないと)」
ピンポン 
「はいはい、……て、君か。珍しいなあ。鍵開いてるのに呼び鈴何遍も鳴らして」
「(声が出なくて)」
「……声が出えへんの。風邪で?──昨日えらい喉枯れてたからなあ。痛むか」
「(はい)」
「上がって、台所来て」
「……」

「そこ座って待っとき」
「……?」
「確か、冷蔵庫に前唐揚げ食べた時使たレモン汁が……ああ、あった」
「(何してはるのかな)」
「──ほら、蜂蜜レモン。お湯に蜂蜜とレモン汁入れただけやけど……。冷めへんうちに上がり」
「(有り難う御座います……!)」
「何となく頷いてる感じで分かるわ、どういたしまして。昔風邪引いたときにオカンが飲ませてくれたから……君にも効いたらええなあ」
「(きっと、すぐに治ります)」
「あとはこれやろ、ネギ」
「(ネギ?!)」
「俺はした事あらへんけど、効くかも……。後は、日本酒を暖めたタオルに染み込ませたら首に巻くとか」
「(嫌な予感がしてきた)」
……
「──なんやネギ臭いな、中大路くんからか?」
「……。」
「わ!叩かんでもええやん、何で?!」
「名頃先生がしはったみたいです。お酒の香りもするし、このタオルから……。」
「喋られへんから断れなかったって所やな」
「うち、先生に外してもええか云うてあげるけど──ええの、そのままで?ほんまに?」
「(はちみつレモンは美味しかった。早く治しますね、鹿雄先生)」
追記


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