2017 title and request
きみのへき開を教えて
瞳孔を塗り潰すいろ
掻き出して絡む声
まぶたは錠のかわり
そうやって海を忘れる
立花さん / もうひとりのぼくへ / 殺伐・閉鎖など
刻み付けて春
風の色を知っている
不可逆の先端で踊りたい
奈落の底のプログラム
もどかしい花弁を暴く
志乃さん / 美しきエンドロール / ハッキング
ゆらめく鍵
秘密めいた結晶
あなたにもあったはずの夜
月のとけたスープ
君にだけ読める手紙
りんごさん / 氷砂糖の約束 / 宝物
ほどくのがとくい
短い夜の集会
あの日を呼び起こすコード
いつもの味がしないよ
歩み寄れる速度だって証明してほしい
マユさん / 気球のお題 / 年の差の幼馴染
はじまりからおわりまでわたしに閉じられていてね
君の孤独をねぶる
愛してる、慰めて
名付けるから僕のもの
いまあなたがわたしになったね
櫻さん / なめらかな母胎 / 薄暗い束縛愛
ねじれてもやぶけても
擦り切れた横顔
祈るたび遠くなる君へ
幸福が一度振り向いた
曲線を待つ
海苔さん / どうか幸く / 過去現在未来
つめたくもあたたかくもない雨が今日を切り裂いていく
当たり障りのない不完全な球体を取り戻すために
焼きついた声を剥がして傷口を恋と呼んだ
そばにいてほしい、手をつないでほしい、名前を呼んでほしい、いつまでもわからないでいてほしい
終わりのないパズルをやめた、もう誰も許してはくれない
明さん / 剥離した感情はジャムにしよう、甘酸っぱいとっておきを瓶に詰めて君にあげる、わたしはもうそこにはいないけど / もう一度泣いてもいいかな