2014 books
闘志の純度
憎しみというけもの
生に縋る嘶きを
絶望が臓腑を食む音
監獄が朽ちる前に
海苔さん『進撃の巨人』諌山創
箱庭は夢をみる
花園は繰り返す
あたたかい檻
光暈がこびりついたままで
白い季節に住んでいた
鳴さん『ミネハハ』フランク・ヴェデキント
救済のまなざしは哀しい
祝福が祝福であるうちに
優しさのトラジコメディ
宿命の呪いと追憶の誓い
方舟が目指すラグナロク
雛人形さん『D.Gray-man』星野桂
甘くても痛くてもほんとうじゃなくても
逃避行の出口
愛と青紫
誰もが兵士だったとき
彼女の液体
鞠子さん 『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』桜庭一樹
宵が通れば
なまめく影のにおい
汲みあげた邪悪さは澄み切っている
黄昏を踏みはずしてゆけば
幻が破れる合図
小豆さん『きつねのはなし』森見登美彦
瞳に注ぎ込まれた狂気
傷跡は僕を見ている
切実な空虚
幸福の隣で泣いている
永遠の嘘は本当
まなこさん『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』入間人間
薔薇を飲む、白い歯
オムファタルの恋人
いとしいサファイアへの弔辞
点をつないであなたを失った
シーツの影を掴めたとして
たまこさん『シェリ』コレット
愛を知る旋律
ひだまりを抱き締めて
ぼくらのベルエポック
いっとう美しい祈り
幸福は君のかたちをしていた
葉子さん『ゴールデンデイズ』高尾滋
白く澄んでゆく願い
差し伸べた手も震えていた
どうしても呼吸をやめられない
悲しみの凍みこんだ道標
かみさまを覗いたことがあるんだね
ゆうひさん『楽園まで』張間ミカ