好きな季節で呼んでくれ
彼女の鱗粉
ふれあったところで必ず色分けするようなぼくらの答え合わせがしたい
花束を叩きつけたいひと
わたしの辞書に侵食してよ


人形を辞めた日
衝動のスペクトル
この春に楽譜はない
薄光をぬぐいさる儀式
君にたどりつけない地図


思い出の消失点
触れられる星の棘
別れを踊るならかろやかに
あどけない快楽のほどきかた
切ないふりをする喉


裂く日
君の背骨は一行詩
ラストノートを追いかけて
罪を漂白する眼
こころが壊れない


世界の呼吸音
五秒数えたら他人
愛されたい皮膚
葉擦れは覚えている
君をゆるすための器官


浅い夢に縋る
ひらいたらおしまい
折りたたまれたコーヒーの匂い
天国のデッサン
三角形を可視化せよ


口先の王国
羽化を待ちわびる瞳
君の琴線を切ってしまいたい
不幸せな夜をめぐる方程式
粒ぞろいの天使


コーダを引き連れて
足の爪から解析します
ライムライトで切り刻む
氷砂糖の約束
フラジャイルをだきしめて


「切り込みは生々しくあるべきだ」
君の発する五十音にすべりこめたなら
スタッカート・ジュブナイル
星の飛沫を餞に
どうか幸く


黄昏はかすみ、君とわたしはさかいめを失う
孤独を首に巻きつけて
喪服をなぞって海に行く
幽霊でもよかった
あなたのモールスはすぐわかる



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