「…………」
「…………」
「……なあ」
「なに」
「何読んでるんだ?」
「小説」
「…………」
「…………」
「えっと、タイトルは」
「聞いてどうするの」
「……参考に」
「アルディーニくんは小説を読むのかい」
「オレだって本くらい」
「日本語の小説だよ。読めるの?」
「…………」
「…………」
「……あ、あーその」
「なに」
「その本、おもしろいのか?」
「おもしろいって言ったら、どうするの?きみも読むの?」
「読んでみたいなと思うよ」
「おもしろくないよ」
「……そうか」
「…………」
「ほ、本好きなんだな。どんなジャンルが好きなんだ?」
「私の好みを聞いて、きみのためになるとは思えないけど」
「そんなこと、……」
「…………」
「……好きな作家とか、いるのか?」
「きみに言ってもわからないでしょ」
「た、しかに、わからないかもしれないが……」
「なら意味ない」
「そう、だな……」
「…………」
「…………」
「……ねえ」
「なんだ!?なんでも聞いてくれ!」
「どうしてアルディーニくんは私に構う……、ちがうな、私に構ってほしいんですか」
「……構ってほしそうに見えるか?」
「ものすごく」
「えっと……」
「…………」
「き、君が本ばかり読んでいるから、その、少し寂しい、かもしれない」
「構ってほしいんなら、幸平くんのところにでも行けばいいんじゃないの」
「そうじゃなくて、」
「じゃあどういうこと?」
「だから、オレは……」
「…………」
「オレは、……」
「……なに」
「……Per favore noti il mio sentimento.」
「え、なに?イタリア語で何か言った?」
「オレは」
「うん」
「君が好きなんだ」
「…………」
「だから、君のことを知りたい。何が好きで、どんなものに惹かれて、どうすればオレを見てくれるのか」
「…………」
「少しずつでもいいから、教えてほしい」
「…………」
「……どうした?」
「……ずるい、ずるいよそんなの」
「え?」
「ときめいちゃったじゃんか、不覚にも」

それは甘いときめき



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