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▼ 今宵、酔い


「アイメリク様、私そろそろ帰らないと…」

完全に酔ってしまって机に突っ伏しているアイメリクにユリアーネはおそるおそる言葉をかける。

神殿騎士団総長である彼に、なんと食事に誘われてしまったのだ。
ルックスも良く、政治に関しても頭がきれる。
イシュガルドのトップといってもいい人物だ。
光栄なことではあるが、こんな高貴な人と食事なんて気が引けるのは当たり前だと思った。
自分も元々は貴族なんかではないし気にしないで欲しいと一蹴されてしまい、とうとうこの日を迎えてしまった。

「もう少しだけ……一緒にいて欲しい」

時間も遅くなりお暇させて頂こうとしたのだが、引き止められ放っておくわけにもいかず。
何より、こんなに酔っているのだから。

「このままだと寝てしまいますよ。せめて寝室へ……」

「わかった……」

相変わらず、アイメリクの顔は真っ赤に染まったままだった。
ふらふらと立ち上がり危ない足取りだったので、なんとか寝室まで誘導してやる。

「ふふ……アイメリク様ってお酒弱いんですね」

「よ、酔ってなどいない」

「もう、完璧に酔ってるじゃないですか」

強がるアイメリクを見て少しほっとした。
あんなに手の届かないところにいると思っていた人だって、お酒に飲まれることもあるんだ。
決して馬鹿にしているわけじゃなくて、普段とは違う一面もあるんだなと妙に感動してしまった。
そんなこと誰しもあることなのに。
普段弱みを一切見せない彼だからこそ、そう思ってしまうのだろうか。


無事に寝室に辿り着くと、ベッドに横たわるように促す。

「うぅ……ユリアーネ……」

素直に従ったかと思えばそんなことはなく、おもむろにアイメリクはぐいとユリアーネを引っ張り膝の上に頭を乗せ始めた。
俗に言う膝枕という形になってしまい、腕はがっちりとユリアーネの腰に回されている。

「ちょ……っと、アイメリク様……っ」

「……」

……返事がない。
寝てしまったのだろうか。

「……もう」

諦めた。
アイメリクの寝顔を見たら、なんだか起こしたくないなという気持ちが湧いてしまったからだ。

朝になれば彼の酔いも冷めているだろう。
そう考えて、アイメリクに毛布をかけてやってから、自分も横になることにした。
少しここで寝かせてもらおう……。



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誰視点なんすかね?



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