6



『お前馬鹿だろ、俺が分かんないと思ったのかよ?』

―出来れば俺だって見つかりたくなかった。
歯を食いしばる。そうしないと泣きそうになる。
泣くわけには、いかない。
逃げたつもりでも、逆に自ら渦中に入ってしまった。
だから、ここからどうやって免れていくかを考えなければならない。
渦中の中に入ってでも、いかに関わらないようにするか―
「無理だろ」

逞には極力何も話したくなかった。
あいつは目上に対しての態度などたまに見ててはらはらするが何だかんだ素直なんだ。純粋なんだ。
普通に女の子を好きになって、ノーマルなんだ。
同性を性的対象にするってこと自体想像出来なさそうな奴だ。
なのに俺は何をアホなことをのたまったのだろうか。バカだ。
いきなり真実を話してしまうとか、末期すぎる。
せめて理由を話すだの色々あったはずなのに、何を直接的なことを言ってしまったんだ。
こうして今まで何人もの友達を失ったのに、俺学習能力なさすぎだろ。
逞に恋愛感情を持たなかったのがある意味救いかもしれない。

まぁ、俺は誰であろうと恋愛感情なんて持たないけど。

しかし高校入ってからの一番安心できる存在を失ってしまったのはやっぱりしんどい。
逞の性格を考えると尚更。
あいつは明るくておちゃらけてるけど本当に冗談に出来ないことを見分けてる。
ある意味、いつも通り冗談扱いにして貰った方がありがたかった。
まぁ今更どうでもいいや。

…どうでも良くない。
俺はどうすればいいんだ。
逞のことも、―竜義のことも。

prev next

 

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -