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「だーいたいさぁ、今日俺は友達居ねぇ兄貴のためにわざわざ飲み会来させたっのにさぁ?あの馬鹿兄貴ずっと携帯いじってるしさぁー」
「なぁ竜義うるさい、近所迷惑考えろ」
帰り道。ひとまず克紀先輩は宮内先輩を、紘平はタツ先輩という酔っ払いをそれぞれ支え、俺は3人の荷物を持っていた。宮内先輩は完全に眠ってしまって歩かせることが出来ず、タツ先輩は大声で喋り出すわで2人は苦労してるみたいだ。そして俺も―工学部生一体何鞄の中に入れてるんだと疑う程鞄が取り敢えずめちゃくちゃ重くて、それが3つ。地味につらい。
「あぁ、取り敢えず俺はパソコンとかハードウェアとか論文資料とかかな。研究立て込んでる中でタツに連れ出されたし」
克紀先輩に聞いたらそう返事が返ってきた。パソコンとか落としたら一巻の終わりだ。
「タツも教科書重いらしいし。…あいつのことだから漫画入ってると思うけど。ごめんねこんな重いの3つも持たせて」
「いや大丈夫っすよ」
宮内先輩を負ぶさっている先輩を見ていたら自分は本当に些細な重さの気がした。
しかも克紀先輩の首を締めるのではないかと思うほどしっかりしがみついている宮内先輩を見て、克紀先輩大丈夫かと心配する程の。
「あ、着いた。ほら宮内、家着いたぞ。鍵貸せ鍵」
マンションのエントランスのタッチパネル前でそう話す克紀先輩。
「んー…」
微睡んでた宮内先輩のズボンのポケットから鍵を取り出し克紀先輩は鍵を開けた。
「いいよ皆上がって。一旦荷物置きなよ」
俺は3人分の荷物を置き、紘平は竜義先輩をソファーに座らせた。克紀先輩は宮内先輩をベッドに寝かせる。宮内先輩の部屋には必要最低限の家具しかなく、整えられている感じがする。
「宮内、水飲むか?」
宮内先輩はこくんと頷く。金髪に似合わず動作が子供っぽい。先輩にはこんなこと失礼だけど。
克紀先輩はコップに水を汲み飲ませた。
「きょー、…ありがとな。もーだいじょ…ぶだか、ら」
「いや、いつもの事だろ。じゃぁな、お休み」
克紀先輩は宮内先輩の髪を撫でた。

「あ、俺鍵研究室置いてきたかも」
帰り道、急に立ち止まった克紀先輩。
「はっ、バッカじゃねーの」
竜義先輩は大声で笑い始める。
「…じゃぁお前持ってんのかよ」
「んなわけねーじゃん」
けらけら笑い出す竜義先輩。一方の克紀先輩は溜息を吐いた。
「もう俺今から乗って取りに行くわ。往復でも終電まだ間に合うだろ、多分開いてるし」
幸い今の場所は学校から5駅以上掛かるといっても電車1本で行ける。
「ごめんな2人共、俺今から鍵取りに行くからそれの面倒見て貰ってもいい?」
克紀先輩は竜義先輩を指差し言った。
「大丈夫です。取り敢えず俺アパートなんですけど学校から右回りの2駅先なんで」
「了解、その駅着いたら竜義の携帯に連絡入れるわ。明日の授業大丈夫?」
「先輩、明日土曜日ですよ」
うっわまじかよ、そう笑って先輩は俺から荷物を受け取り走っていった。

結局あの後は克紀先輩が鍵を取りに帰ったにも関わらず竜義先輩が紘平のベッドで熟睡しアパートに連れて帰ることが出来なかった。ガタイが良く意識も深く飛ばして寝ているらしい竜義先輩を先程連れて帰ってきた紘平はもちろん、俺と克紀先輩が担いで帰ることすら出来なかった。
「大丈夫ですよ、1人位は泊めれます」
紘平はむしろ兄弟で泊めれないのを謝ったが克紀先輩は紘平に面倒を頼むことになった。
「ありがとう、迷惑を掛ける…取り敢えず明日起きたら俺に連絡するよう竜義に言ってくれ」
「了解です」
その後俺と克紀先輩は終電に間に合い共に帰った。というか本来乗り換えのある俺と高羽兄弟で駅こそは違うものの家が非常に近いことが判明し驚いたのもあったが。

週末は新しいバイトの初出勤で充実していた俺に波乱が起きたのは週明けの月曜日である。

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