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「…大体さぁ!兄貴只でさえニート並みに研究室引きこもって回路いじくってるし食生活も不規則すぎるしアパートにも帰って来ないし!?まじあいつふざけとるわ!!」
数分もするとタツ先輩の愚痴大会へと変貌した。横瀬先輩が丁度別の席に呼ばれ向かったみたいで、タツ先輩の大声での愚痴を児玉先輩では抑止出来なくなったみたいだ。安眠に入った添田先輩を遠くの席へ避難させ、一緒に居た友達の何人かは他の席へ避難した。しかし運の悪いことに紘平がタツ先輩に肩を組まれるという状態で捕まってしまい、俺も話を聞くことになってしまったのだ。
「ホンットあの根暗自重しろよって思うんだよ!思わね?」
「は、はぁ…」
人への対応が上手いと昔から評判の紘平が戸惑っているというかなり珍しい状況からも伺えるように、タツ先輩の悪酔いは酷かった。
「大体…いてぇっ!!」
そうして豪語するタツ先輩の頭を誰かが叩いた。

「うるさいぞタツ。同席の方々の迷惑も考えろ」

黒髪で長身のガタイのいい大人の人。
「カツ兄痛いわ!てめぇさっきまで我関せずで交流そっちのけでネット書き込んでたじゃねぇか!」

タツ先輩の―お兄さんだ。
間近で見るとまた印象が異なる。
落ち着きのある低い声。
「すいません、弟がご迷惑お掛けしました」
帰るぞ、とタツ先輩のシャツを引っ張る。
「あ?まだお開きじゃないだろ、つかあいつは大丈夫なんかよ」
タツ先輩は時計を見て確認する。
「宮内なら微睡んでた。同じ酔って饒舌になるのでも落差ありすぎ。他人に迷惑掛けないようにしろ」
口調が母親みたいだ。
「母親かよ」
実際タツ先輩も笑う。
「未成年の飲酒にはこの際目を瞑るから飲むなら他人に迷惑掛けない上限を理解して自重しろ」
早く荷物纏めろ、と言ってもタツ先輩の荷物を勝手に纏め始めるお兄さん。
「兄貴の飲み会でオレンジジュースもどうかと思うけど」
荷物触られるのには抵抗ないのかスマートホンの携帯を確認するタツ先輩。
「馬鹿みたいに酔ってる奴2人連れて帰らなきゃいけないから自重せざるを得ないんだよ、全く、誰のせいだかな」
「あ?飲めないくせに何が自重だこのヘタレ」
タツ先輩はそう言い立ち上がるがふらつき倒れだした。近くにいた紘平が慌てて支える。
「…お前ホント後輩に迷惑掛けてんじゃねぇか…ごめんなこんなクズに構わせて。すぐ帰るから女の子とか交流行ってきなよ」
3人分の荷物を持つお兄さん。彼が更にタツ先輩ともう一人…無理だろ。
実際紘平もそう思ったらしい。
「大丈夫っすお兄さん、それより俺で良ければ荷物持って行きます」
「タツ先輩大丈夫ですかー?取り敢えず支えるんで歩いて下さい」
俺は言いつつも荷物を奪って、紘平は肩に長身ガタイのいいタツ先輩を掛けて支える。発言以前に行動に移した強行手段に出た俺達にお兄さんはお礼を言うしかなかった。

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