美咲視点 ネタバレ有
絵文字注意

『おたくの阿呆彼氏さんがまたヘルプの女子口説いてたぞ。』
メール画面を開くと毎度恒例の報告である。
『りょーかいです、いつも情報ありがとうございます
そろそろ浩介しばいときます(笑)』
毎度女遊びの激しい彼氏に関して律儀に報告してくれるバイト先の先輩にメールを返信する。岡澤は浩介と同い年だが浩介にはアドレスは絶対に教えないでくれとお願いされた時は流石に笑ってしまった。
果たしてあの阿呆彼氏は自分の大好きな、けれど決して振り向いてくれない男友達のメールアドレスを自分の彼女が知ってると知ったらどういう反応をするだろうか。
まぁ岡澤さんのアドレス知ってるのは不可抗力なんだけどさ。
『俺からは報告以上。』
律儀に終了のメールも送信された。
数時間後、スマートフォンが振動する。送り主は再び岡澤真聡。内容を確認する。
『みさきー
数学のテスト範囲どこだっけー(・ω・)?
忘れちゃったー\(^o^)/』
内容と噛み合わない絵文字に美咲は思わず吹き出した。大丈夫、さっきも会ったけどこの人も通常営業だ。
『教科書P125からだよー!(*^^*)
あと、明日古文の小テストあるけどちゃんと覚えてる?』
送信、っと。すぐさま返事は返って来た。
『わすれてた((((;゚Д゚)))))))
おしえてくれてありがとう(((o(*゚▽゚*)o)))
けどひなたもう寝たいお(*_*)』
岡澤ひなた。岡澤真聡の妹であり美咲の高校のクラスメイトであり親友である。今時珍しく岡澤家は携帯が大学生の兄と高校生の妹の共用である。お互いさほど使わないから、ということらしいが普段は流石に持っていないと損をする兄が携帯を持ち歩き、妹は数名の友人にこのようにメールを送信するといった形である。兄の真聡の携帯とメールアドレスを借りて。
というわけで岡澤兄妹との暗黙の了解として、兄からのメールは必ず句点がつく。そうでなくても文面や内容で分かるものだが、真面目だけどちょっとシスコン気味のおにいちゃんとしては体裁をつけたいのだろう。
『寝るなよwww』
こう送信して数秒、
『おやすも☆〜(ゝ。∂)』
美咲は慌ててメールを打つ。
『おいこらひなた起きなさい(´・ω・`)』
返ってきたメール画面はこうだった。
『zzzzz』
クラスの中でも能天気な親友を思い浮かべて美咲は苦笑せざるを得なかった。
この能天気な親友の意味でも、そのおにいちゃんの意味でも、悪いけど浩介に岡澤のメールアドレスを教えることはできないな、と美咲は改めて感じたのだった。





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