※意味不明



何てこった。
古市は心の中で溜息をついた。

日曜日。古市は男鹿と遊園地に行く約束をしていた。集合時間は遊園地駅前11時。

…只今古市宅11時45分。

寝坊では断じてない。実際古市は男鹿との外出が楽しみで起床時間は6時前だった。
ならば何故か?簡潔に言えば家庭事情だ。
「ってかほのかの奴留守番したくないからって暇なくせに逃げやがって…!」
彼は自宅留守番をしていた。
男鹿に連絡しようにもさっきから携帯が繋がらない。
…これ相当怒ってるな…!!
焦りは増すが家族は一向に帰ってくる気配がなかった。何時もなら居て呼ばなくても現れるアランドロンさえ呼んでも出て来ない。
♪〜
古市の携帯の着信音が流れる。相手は全ての元凶の妹からだった。
『今遊園地だよー(^^)』
携帯を投げ捨てようかと思った。よりによって男鹿と行くはずだった遊園地に…!!
添付された写真にはほのかがピースサインでメリーゴーランドの馬に乗っている。ちなみに後ろにはアランドロン。
「悪夢だ…!!」
男鹿は帰っただろうか、アランドロン取り敢えず今すぐ来い!そう思った古市だったが無情にもアランドロンは来なかった。
♪〜
再び流れる。次は男鹿だった。
「…もしもし?」
相手の声は恐ろしい程冷静だった。
「古市、今何処だよ?」
声のトーンの余りの低さに電話とはいえ応答はおろか声を出す事も、口を開く事すら出来ない。
とてつもなく嫌な沈黙。
「…古市、家族は見たけど…一緒じゃないのか?」
電話で伝わる訳がないのに古市は首を左右に振ってしまう。
男鹿はすっかり黙り込んでしまった古市に対し怒ったのだろう、電話を切った。
ツーツーツー…
古市の目から雫がぽたぽた零れ落ちた。

どれ程泣いたのだろう、窓から夕日が洩れだしている。
古市は部屋でただうずくまるだけだった。「古市、」
あぁ、愛しすぎて遂に幻聴が聞こえたのだ。
大好きな人。だけどもう―――俺に彼を愛する資格など無い。
足音がする。俺には振り向く資格はない。
後ろから人が俺にのしかかる。逃れようにも抱え込んでいる力が強すぎる。
頭を撫でられる。俺は声を発した。

「     、        。」



夢から醒めた夢


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