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康一のスタンドが主の元に戻ってきたが、少々落ち着かない様子だ。
康一の言葉を受けて、露伴は自ら空を見上げてみる。
特段変わった様子もなく晴れ空が広がっていたが、先程の康一の空中で何かに触ったという発言を受けて、美登里は目で見えない何かがいるのかもしれないという想像を膨らませる。

露伴はというと、再び康一にエコーズを空中に飛ばしてみてくれと依頼する。
躊躇する康一に、露伴は今度は強い口調でスタンド攻撃なのか、それとも気のせいなのかもしれないから確認のためにもう一度やってみてくれと言う。

するとその時。

「あなた達、道に迷ったの?案内してあげようか?」

3人の後ろから、女性の声が呼びかけた。
突然の出来事に、後ろを振り返った美登里は顔を強張らせて、背後の人物を思わず睨みつける。

後ろにいた人物はまだ年若い女の子だった。
恐らく康一と美登里と同じくらいの年齢の子だろう。
とても人に被害を与えなさそうな、優しそうな雰囲気だと美登里はこの人物の第一印象で感じた。

ほっと安堵の溜息をつく美登里とは異なり、露伴は有無を言わさず自らのスタンドを発動させる。

露伴が何かを描くようにして腕を動かすと、帽子を被った子供のような像が空中に浮かび上がった。
空中に浮かび上がった子供の像は一直線に女の子の方へと向かっていき、そのまま身体に触れるようにして真正面から向かっていった。
女の子は体勢を崩し、倒れこもうとするところを露伴が支える。

美登里は女の子の困惑した顔をみて、ひょっとしたら露伴のスタンドが見えていないのではないかと考えた。
スタンド使いだったら露伴のスタンドが自分のスタンドと同じように判別出来て、能力の行使に抵抗する動きがあってもいいようなものだ。

既に女の子の顔は皮膚が本のように捲れるようになっており、個人情報がつらつらと書き連ねられているのが見てとれる。

このスタンドの主である露伴がいつものように個人情報を読み上げるので、自分の時のようにプライバシーに踏み込む様な仕草をしないか怪訝な表情を浮かべて、露伴の声に美登里は耳を傾けた。

案の定、露伴は女の子はスリーサイズだとかファーストキスの状況を本人の許可なしに暴露したが、1つ大事なことを教えてくれた。

女の子の名前は杉本鈴美、16歳。
スタンド使いではない。

これが突然現れたこの女の子の、唯一の手がかりになる事だろう。


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