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静というジョセフと仗助が見つけた迷い子の赤ん坊と対面した、その翌日。

美登里は急ぎ足で学校へと向かっていた。

いつもなら朝礼前より早めに余裕をもって登校し、図書館で自習をしているのだが、今朝は珍しく遅く起きてしまいペースを早く取り戻すように自宅を出てきた。

遅刻をする時間ではないが、出来る事なら早めに自宅を出た方が気持ちが落ち着くというのが美登里の考えだ。

途中、見知った姿が見えたがその不思議さに首をかしげながら、美登里は彼の名前を呼んだ。

「康一くん!おはよう」
「あ、おはよう美登里さん。
今日はこの時間から学校に行くんだね」

康一の言葉に頷きながら、どうして彼がこの辺りにいるのだろうかと美登里は不思議に思った。
学校に登校するなら美登里と同じ方向に歩いていくのが自然な事だが、康一は前方から現れた。
彼女にそう指摘をされた康一は、苦笑いを浮かべ頬を掻く。

「あ、あれー…?おかしいなぁ」
「考え事してたから道に迷ったんじゃあない?
私もたまにしちゃうなぁ〜」

さりげなく康一にフォローを入れつつ、美登里は一緒に学校に行こうと誘う。




しばらく歓談しながら歩いていたが、ふと周りを見ると学校に向かうルートではない事に美登里は気がつく。
康一に導かれるまま歩いてきたが彼女は戸惑って足を止めた。

目の前には、朱色の屋根の大きな三階建ての立派な家が立っていた。
家の前で足を止めた美登里とは逆に、康一はまるで自分の家であるかのように玄関のドアを開け、そして中に入っていった。

余りにも自然に振る舞う彼の行動に美登里は呆気に取られたが、同じ様に家のドアを開け少し遅れて康一の後を追う。

これまで遭遇したスタンド使いの存在に考慮した上で、不自然に見える康一の行動が誰かに操られているからなのかもしれないという考えが彼女の頭によぎったからである。

非現実的な考えかもしれないが、もしかしたらあり得る話かもしれないと美登里は自分に言い聞かせる。

仗助と億泰、それに承太郎を呼んだ方がいいかもしれないが、承太郎はともかく仗助と億泰を呼ぶ時間が康一に何かあった時に命取りになるかもしれない、と美登里は最終的に判断した。

何事もないといいが、その可能性も多からず少なからずといった所だろう。

しんと静まりかえっている広い玄関口は、灯りもついておらず、目が暗い所に慣れるまで少し待ってから薄暗い玄関口のすぐ横にある階段を美登里はゆっくりと登っていく。


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