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仗助と美登里は、承太郎に挨拶してから窓際で1人用ソファに腰掛けるジョセフに歩み寄る。

5月に入ってからというもの、晴れの天気が続きぽかぽかとした陽気が窓から入ってくる。
窓際のソファに座っているジョセフもそんな陽気に眠気が誘われたのか、時々船を漕いでいる。

ジョセフの側まできて静かに揺り動かして起こそうとする仗助の背後から、美登里はある事に気がついた。
ジョセフの腕の中で1人の赤ん坊が収まっていた。

ピンクのニット帽子にピンクのベビー服を着用している事から、この赤ん坊は女の子だと分かったが、少し奇妙なのがサングラスをかけているということだ。

これでは今機嫌がいいのか分からないと美登里は怪訝に思った。
よく、目は口ほどに物を言うというが、両目を覆い尽くしてしまうサングラスはこの子が何を見ているか、そして笑う時泣く時の瞬間を伺う事が出来ない。

「ジョースターさん、美登里ちゃんが来てくれたよ」
「何じゃあ仗助君…」
「ってコラ!言ったそばから寝るんじゃあねぇッスよ!」
「じょ、仗助君…!無理に起こしたら可哀想だよ」

ジョセフと漫才のようなやり取りをする仗助を諌めつつ、赤ん坊の機嫌だけは損ねないように気を配る美登里。
赤ん坊は一度泣きのスイッチが入ると、中々泣き止まない事を従兄弟の世話で美登里は身をもって体験している。

諌められた仗助は美登里に小さく詫びの一言を入れ、短く溜息をつくとジョセフの傍らにある腰掛けに座り、再び眠りこけてしまった父親の顔を凝視する。
問題の赤ん坊は時々指しゃぶりをしたり、あるいは言葉を発したりしている。

「…突然ですまなかったな、美登里君。
君を呼び出したのは他でもない、じじいの腕の中にいる赤ん坊の事だ」
「…何となく事情は分かりました。」

部屋の主である承太郎の言葉に美登里は黙って頷く。

「…この子は昨日、仗助とじじいが拾ってきた子だそうだ。
母親らしき人物は見当たらないという事で、責任をもってしばらく様子見をする事にしたんだが…。

私も仕事がある身だし、じじいが1人でいる間シッターを雇うにもこの子にはスタンド使いの素質があるようだから、事情を知る人物の中ではこの子の世話役には君が妥当だと思ったのだ」
「…」
「…無理にとは言わないが、この子の世話役を任せてもいいだろうか」

承太郎の言葉に美登里はすぐ反応が出来なかった。

まず母親が誰だかも分からない拾い子で、そしてスタンド使いという赤ん坊という事実を知らされ、美登里はこの赤ん坊の事を不憫に思う気持ちはあった。
しかし幼子の従兄弟の世話をした事があるという経験だけで、自分はこの子の面倒を見る事が果たして出来るだろうかと思った。

「…承太郎さん、ストレートすぎますって。
美登里ちゃん、何も1人で世話をやらせよーと魂胆じゃあないから心配しなくていいぜ。

要は、赤ちゃんのお世話をするには同じスタンド使いの女の子がいた方が、赤ちゃんも安心するってことを承太郎さんが言いたかった事ッスよ」
「…すまんな仗助、美登里君」
「あ、ああ…そういう事でしたら大丈夫です。

放課後とか休みの日に、赤ちゃんとかジョセフさんの様子を見に来ればいいんですよね?」

承太郎の言葉に解説をいれるかのように美登里を安心させる仗助に、美登里は心の中で感謝しながら、先程の承太郎の依頼に承諾した。

「ところで、赤ちゃんの名前は何というんですか」
「それがまだ決めかねている…。
仮の名前として、“静”と呼んでいる」
「…」

名前もどこの誰だかの子供だという手立ても分からない今の状況で、とりあえずこの子の保護を第一としなければならないと美登里は頭では分かっているが、胸にしこりが残ったような不安もあった。

しかしようやく目を覚ましたジョセフから手渡された赤ん坊の温もりは、やはり安心するもので美登里は母性を擽られその子に笑いかけるのであった。


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