そして今ジョセフ・ジョースターが乗船していると思しき船体が見えてきたと、承太郎が告げるのを美登里は反応し、じっと遠くに目をこらしてみる。
残念ながら近視である美登里の目は船体をはっきりと捉える事が出来なかったが、承太郎の「船は約20分後にこの杜王港に到着出来る距離である」と言葉を受け、美登里は無言で了承の意味で頷いた。
聞く所によると、ジョセフ・ジョースターは老齢であるものの「隠者の紫」というスタンドを今現在でも操作出来るという。
例の電気を操るスタンド「チリ・ペッパー」の本体を追う手段としては、そのジョセフのスタンドを駆使して、この杜王町に潜んでいる本体の姿形を割り出せるという事らしい。
そのジョセフ・ジョースターを助けをかりるには、彼の命を狙うであろうチリ・ペッパーからの追撃を阻止しなければならない。
そう承太郎からの情報を受けた矢先である。
影を潜めて悪事を働いていたというに、自らの正体を人前で暴く事が出来るというスタンド使いが現れたと聞きつけた彼のチリ・ペッパーのスタンド使いは、自らの保身の為に、電気が通ってない僻地の何処からともなく承太郎の話を聞きつけて(これもまた自らのスタンドのみ出現するという卑怯な手段だが)、つい先程の事であるが、承太郎らを襲撃した。
辛くもチリ・ペッパーを撒く事が出来て、杜王港にてジョセフ・ジョースターの乗船する船を迎える準備をする一行だが、念には念をいれて電気と区分されるものなら何でも警戒を払う。
1度はチリ・ペッパーの襲撃を退ける事は出来たが、彼の目的は目下の所ジョセフ・ジョースターの命を奪い取る事であるから何度でも襲ってくるだろう。
事実を踏まえて、また検討もつかないチリ・ペッパーの襲撃に備えてジョセフ・ジョースターが乗船する船に一刻も早く接触する為、承太郎がモーターボートを借り入れた。
話は現在に戻る。
目に見える範囲でジョセフ・ジョースターが乗る船を確認した承太郎は、次の指示を仗助らに与える。
承太郎の側にいた康一と美登里は勿論の事、チリ・ペッパーがモーターボートの機器類に潜んでないか、着岸していたボートを調べていた仗助と億泰も承太郎の指示を聞き逃さんと作業していた手を止める。
承太郎はこれからは二手に分かれると告げ、億泰と美登里はこのボートに乗り込んでジョセフ・ジョースターを迎えにいくが、仗助と康一は陸地に留まるようにと指示をすると、仗助は何故残らなければならないのかと反発する。
陸地に残る事を不安に思った様子を見せる仗助に、承太郎は喝を入れる。
この港湾に潜むチリ・ペッパーの本体を探し出し、実父と無事に対面を果たす機会を見つけ出す事が仗助に課さられた任務なのだと厳しい口調で諭す。
チリ・ペッパーの本体は何が何でもジョセフ・ジョースターと接触したい筈だから、電気を通すものを操って自らのスタンドを船に派遣するだろうと助言する。
そしてその小道具はボートと並行して船に到着出来るものであると前提とし、様々な条件を鑑みて、「ラジコン」であろうと承太郎は仮定する。
だから陸地に留まる仗助と康一は、陸にも海にも果てには空にも注意しなければならないと告げてから、承太郎は億泰と美登里を伴ってボートに乗り込んだ。
承太郎の言葉を最終的に受け入れた様子であったが、些か表情が張り詰め緊張した面持ちをみせる仗助に、美登里は何と声を掛けたらいいか分からず、ボートが動き出しても口を噤んだままであった。
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