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そういう経緯もあり翌日の観光では、美登里の好きな人をどうすれば振り向かせてみせるかが叔母の気になる点であり、それを解決するには身なりを整えてみればよいと彼女の独自の理論で、お昼後に百貨店の化粧品売り場に足を向けていた。

化粧なぞまだ時期が早いのではと美登里は不安を口にした。
ぶどうが丘高校は校則がゆるい方ではあるが、まだ高校生という身分であるから派手な格好はしたくないと思うのである。

ところが美登里の持論も虚しく叔母に却下された。
彼女曰く、何もお化粧するというのは派手な格好だけをするものではないと。

「確かにね、ファンデーションはまだちょっと早い気がするけど…。
でもそれ以外に、睫毛を上げたら瞳を大きく見せる事も出来るのよ?マスカラしてもいいかもね…。

…駄目?そう…ならコンタクトにするのもアリね。
後は、香水やらハンドクリームをつけるだけでも変わるわよ」
 
女も3人よれば姦しい。
という言葉があるけれど、化粧品カウンターで母と叔母の助言に従いつつ試してみたマスカラで睫毛を上げてみると、顔の印象ががらりと変わり大人っぽくなった自分と手鏡越しで対面する。
鏡に映った大人びた印象になった自分に不思議と胸を高鳴らせており、美登里は思わず微笑みをこぼす。

その日はカウンターで試してみたマスカラと睫毛を上げるビューラー、それから唇に色合いをつけるリップグロス等を買い上げ杜王町に戻ると、別件の用事があり別行動していた父と合流し、地元の人からも美味しいと評判のレストランでディナーを楽しみ事になっている。

食事の席で今日は美登里が化粧品を初めて購入したのだと叔母が父に報告するのを何だか恥ずかしくて、美登里はその間お肉を切り分けようとする振りをし顔を上げなかった。

父は叔母の話を聞いても特段気にする素振りは見せなかった。
しかし一言言い聞かせるように美登里にこう告げた。

「…まァ美登里もそういう事に興味を持つ年頃だと思うが…。

くれぐれも学生の本質を忘れるんじゃあない。
遊んで、また本命の学校にいけないと後悔するのは君自身なのだから」
「…はい分かってます」

あれ程高揚していた気持ちも落ち込んでしまった。
父のアドバイスもその通りと言いようがなく、いつまでも浮かれている事は将来を見据えなければならない美登里にとっては不利になる。

それは分かっているものの…、スタンド能力に目覚めたあの日から勉強以外にも人の為に役立てる事が自分にもあるのだと分かり、色んな事にも挑戦してみたいと思うようになってきた。

ふと、そんな事を思っている内美登里ははたと気づいた。
…両親は自分の娘が不思議な能力を身につけたと知ったらどんな反応をするのだろうか、と。

現実的に考えたら気味悪がられるかもしれない。
しかし心優しい両親の事だから最終的には理解してもらえるかもしれない。
ただその可能性は低いと美登里も冷静にスタンド能力を身につけた自分の事を客観的に捉えてみて、そのような思考にも陥ってしまう。

あんなに楽しかった一日も、今じゃ苦い気持ちが上回り記憶の遥か彼方に追いやられてしまっている。
しかし、美登里は何気ない様子を装う事でその場を何とかやり過ごした。


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