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ある日の学校帰り。

億泰の兄である形兆のお墓参りに、億泰の言葉に甘えて美登里は億泰や仗助と来ていた。
まだ新しい墓石の仏壇に供える花を活け線香をあげると、3人は黙祷した。

億泰の兄形兆の事については億泰が持つ写真だけで窺い知る事は出来るが、彼の人柄、話し方を美登里は何も知らない。
しかし何故だか他人だと思えなかった。

同じスタンド使いであるし友人の兄でもあるからだと思うが、彼の命を奪ったスタンド使いを目下の所追いかけている最中であるからでもあるだろう。

その仇となるスタンド使いも、この杜王町に突然やってきた仗助の年上の甥承太郎を忌み嫌い、付け狙っているというのでなかなか因縁めいた相手である。

少ししんみりした空気でもすぐに明るく振る舞う億泰だったが、それは墓地に向かう途中でみたレストランに行きたいという気持ちが先行しているようだった。
現金なやつ…と美登里は思いながら、墓地の出口へと向かう仗助と億泰の後についていく。

最初こそ妙な所にたつレストランに仗助は難を示していたが、少し贅沢してみたいという億泰の熱意に押され、またレストランに少し興味を持った美登里がこれだけはと提示した墓参りしてからレストランに行くという条件で、オーケーを出したのだ。

浮足立つ億泰を先頭に、3人は霊園の近くにたつレストランに着く。

ドアの近くにメニュー表があるようなので美登里は、メニューの近くまで寄って行って覗きこんでみたがこの1文があるのみだった。

"本日の料理 /お客様次第/3500円"

「…え〜高いよー」
「おいおい、ここに来て食わないっていうのは無しだぜ〜俺が奢ってあげるからさぁ…ジュルリ」

アルバイトもしておらず、お小遣い程度の持ち金をさらに上回る価格設定に不満をもった彼女を宥める億泰の口からよだれが溢れんばかりだったので、また奢るという話からレストランの料理に興味がないという訳でもなかった為、美登里は男の子ふたりの後からレストランの敷地をまたぐ。

チリンチリンと客の来訪を告げるドアベルが割かしこぢんまりした店内に大きく響き渡った。
2卓あるテーブルから、ひょっとして隠れた名店なのではないかと美登里は考えに至り自然と唾を飲み込んだ。


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