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BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -





承太郎の言う通り康一と虹村億泰は最近よく仗助と一緒だったので、美登里はすぐ3人と行動を共にする事が出来た。

虹村億泰は最初こそ仗助の敵として対峙したそうだが、何やかんやあってお互い信頼が置ける仲間となったという事である。
億泰は仗助よりなかなかの強面だったが話してみると、成程人当たりがよい元気溌剌な青年だった。

仗助についてはあの一件から気まずさがあって、なかなか美登里は話かけ辛い状況が続いていた。
とりあえず康一と億泰とともにいれば、美登里は仗助と話す時でさえも平常通りに振る舞う事が出来た。

さて承太郎の周囲に警戒せよと助言に合わせている、そんなある日の事である。

その日、日直を課された美登里は放課後ペアになったクラスメイトとともに仕事を分担し片付けていた。
作業時間はさほどかからなかった為、日誌を職員室に届ける役を買ってでた美登里は数人残っている友人達にまた明日と声をかけ、教室を出ていく。

職員室にいるクラス担任に日誌を渡し終え、さあ帰ろうと美登里は職員室から寄り道をせずに校門へとたどり着いた。

校門近くに見知った人物がおり、思わず美登里は足を止める。
仗助と…美登里は知らない男子生徒だった。
しかし髪を長くしどこか陰険さを漂わせる男子生徒と共にいる仗助にどこか違和を感じ、美登里は眉をひそめる。

2人は校門から出ようとしている所だったので、その後ろから美登里は少し遅れてついていくような状態になった。

「仗助くーんさよならーっ」
「さよならー仗助くーん」

校門付近にいた女子生徒は口々に仗助に声をかけ、一度彼がそちらの方を見やれば、きゃーと黄色い声が上がる様子に美登里は少しもやもやした気持ちになった。

前を歩く仗助と男子生徒から距離をおいて帰ろうと美登里は校庭にあったベンチに腰かけ、帰る頃合を見測る為、鞄から文庫本を取り出すと小説の世界に入っていった。

春から夏へと季節の訪れを感じさせる、穏やかな風が心地よい。


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