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BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -





「協力してくれる者が多いことはいい。
ただ君はまだ学生の身分だ。今でしか出来ないこと、楽しいことを経験しなさい」

とジョセフに諭され、美登里はジョースター家に纏わる怪異について考えることを暫く保留することにした。
モラトリアムを謳歌するかしないかは自由だが、今しか出来ないことを実体験しないのは勿体ない。

と言う事で、美登里は夏休みを思い切り楽しむ事にした。
元来の性格故に、メリハリをつけてバイトをしたり遊んだりするだけなのだが。
今年の夏はちょっとだけ違うかも…と、つい先日恋人になった仗助のことを思うのであった。



杜王町を訪れる観光客の数は8月に入ると、どっと勢いを増した。人口もこの時期だけは増大しているような感覚である。

憩いの場も今だけファミリーレストランに移動することになった。
いつも使っているカフェは観光客や家族連れが多くなるから、地元の学生は数軒しかないファミレスに集うしかない。

その日は、美登里は知恵と瞳と待ち合わせをしているとあるファミレスに足を運んだ。
暑いねだとか宿題はやったのかという話題を重ねる。

「そういえば、美登里ちゃんはコンタクトにしないの?」

急に話題を変えたのは知恵だった。その言葉に拍子抜けしたように、美登里は瞬きする。

「あー!私も思った!この際だから、やってみたらいいかもねぇ」
「…コンタクトかぁ…。やってみたい気もするけど、ちょっと怖いんだよね…。お洒落の幅が広がるかも知れないけど」
「目に入れるものだからねぇ…、
今でも全然似合うけど、意外性を狙ってみるのもいいと思うよ」

意外性…とは何ぞやと思いつつ、美登里は知恵と瞳の話に耳を傾ける。
美登里自身、流行には人並みに敏感であるものの、恋愛事には疎い。その点、この2人のアドバイスをとても参考になる。


その数日後。
駅で美登里と待ち合わせをしていた仗助は、彼女の様子の変化にすぐ気がついた。

「美登里ちゃん…イメチェンしたんだな〜一瞬誰だかわかんなかった」
「うん、眼鏡じゃなくてコンタクトにしてみたの。…どうかな?変じゃあない?」
「全然いいよ、雰囲気変わるもんだなぁ」

静かに微笑む美登里に、仗助は胸を高鳴らせている。そうして頬が思わず緩んでしまうのを、手で口を覆うことで隠した。
そんな彼の様子をみて、美登里は不思議そうに首を傾げる。

「…眼鏡掛けてるのも似合うけど、美登里ちゃんの目を間近で見れんの嬉しい。
眼鏡があるとどうしても壁があるように思うンだよなぁ」
「え、えあ、そうなの…?」
「そ。
…俺、美登里ちゃんが俺を見てくれてるのが好きなのよ。俺を見て嬉しそうにしている時の顔が可愛い」
「…あっそ、そうなんだ〜!仗助くん、後ろ詰まってるから歩きながら話そう!」
「はい〜」

仗助の腕を軽く引っ張りながら、足早に待ち合わせ場所から移動しようとする美登里の横顔が赤くなっている。
素直に反応をくれる彼女の様子を愛おしく思う自分に苦笑いしつつ、仗助は彼女の後について行く。


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