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その日の美登里は何だか調子が悪かった。

珍しく朝寝坊したし、忘れ物をした等々小さいことだが調子が狂うことだらけで、お蔭で昼休みになる頃には気が落ち込んでいた。
仕舞いにはお弁当を忘れていたことに気づいて、美登里は自分に溜め息がついた。

とりあえず購買部に昼ご飯を買いに行かなければと財布を持って立ち上がると、ちょうど出入口付近にいた仗助と目が合う。

「美登里ちゃんも何か買う?」
「今日はね。…仗助くんもこれから買いに行く?」
「お〜億泰となぁ。なんだったら、今日は俺たちと食べない?」
「…別にいいけど」

美登里は友達に断りをいれてから、仗助とともに億泰のクラスに向かった。
廊下で屯する同級生の中で、1人の女子生徒に美登里は自然と目を向ける。

圧倒的な存在感を発揮させ、艶やかな長い髪、モデルのような体躯をもつ彼女は仗助と美登里の横を通り過ぎる際、「…こんにちは東方くん」と仗助には一言挨拶をし、美登里にはちらりと横目で見た。

「…あの子って…」
「あれ、美登里ちゃん知らない?山岸由花子だよ、ほら康一に以前つきまとってた…」



億泰と合流し、そのまま購買部に向かうと思いきや通り過ぎ、下駄箱に行き着いたので学外で昼食を買うのかと美登里は疑問に思った。

昼休みといえども、学校の敷地外を離れるのは校則に違反する。
そういう取り決めがあっても、先生の目をかいくぐって学校外で昼食を買う生徒は美登里の周りにもいるけれど、いざ自分が校則違反すれすれの行動をすることになった今、とてつもなく緊張が身体を駆け巡る。

しかし緊張はその一瞬だけで、仗助と億泰とともに学校の敷地を出ると、心配はどこかに飛んでいってしまった。


街の中心部に向かうには、校門から延々と続く坂道を下らなければならない。
坂の勾配は緩やかである。
ぶどうが丘中学・高校の生徒達は、卒業するまでこの通学路を利用する。

道すがら仗助と億泰のお勧めのグルメ情報の多さに、彼ら2人の飽くなき探究心に驚く美登里だった。

坂道から平坦な道のりになり、3人は黙々と目的地に向かう。
ふと前方から男子生徒が歩いてきた。
美登里より背丈が小さい彼は、手に町では有名なパン屋の紙袋を携えていた。

男子生徒に気づいた仗助、億泰は親しげに「重ちー」と呼びかける。
美登里はその男子生徒に見覚えはなかったが、彼が嬉しそうに紙袋を持っているのをみて可愛いと微笑ましい気持ちになった。

顔を合わせた後に重ちーに何かを耳打ちした仗助だが、重ちーは怒ったようにこう言った。

「…え!なに言ってんだど!
あんた達宝くじの賞金持ってるはずだど!」

目くじらをたてる重ちーを宥める仗助と億泰の横で、美登里は何のことだろうと疑問に思う。
ぶつぶつと怒りを漏らす重ちーだったが、ふと美登里と目が合い、ぱちくりと瞬きをした。

「おねーさん、見ない顔だなぁ…。
おら、中等部の矢安宮重清だス!よろしくお願いしまス」
「あっ…よろしくね。
私は白石美登里。仗助くんと億泰くんの同じ学年です」

重ちーが体を曲げてしっかりと礼をするので、美登里もつられて丁寧にお辞儀を返して、挨拶する。

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