「ええっ意外っ!白石さんって漫画読むんだ」
「…小説の方が好きだけどね。漫画も読むの好きだよ、お話面白いし」
授業の合間に康一から借りた漫画本を自席で読んでいると、あまり話したことのない男子生徒から美登里は突然話しかけられた。
「へぇーそっかぁ。白石さん漫画とか興味無いとばかり思ってたけど」
「うん、よく言われる。進んで読む方じゃあないけど、面白いと聞いたら読みたくなっちゃう。
岸辺露伴先生のも初めて読むけど、なんか癖になる面白さだなぁと…」
少し自分への偏見が入り混じる彼の話を聞きながら、美登里は無難に手元にある漫画本の感想を言う。
昔から活字を辿るのが好きで、小さい頃からいろいろな絵本や小説、その延長には漫画本にも興味を持っていた。
自分はただ好きな活字と空想が展開する世界観を味わいたいだけなのに、と美登里は少しだけ男子生徒の言葉に反感を覚える。
きっと真面目そうな外見からして、漫画は読まないのだという彼の決めつけがあるからだろう。
それと同時に小さい頃に、自分の空想好きをいじってきた男の子を美登里は思い出した。
少し押し黙った美登里の意を介さず、男子生徒は一方的に話を続けている。
「よ〜宮沢〜」
「お、おいおいオメーが全体重かけたら潰れるって仗助!!?」
男子生徒の話を遮るように仗助が彼にちょっかいを出し、そのまま教室の後ろに2人揃って戻っていく。
残された美登里は2人の後ろ姿をみていた。
放課後。
ジョセフと承太郎は出かけているので、いつものように杜王グランドホテルの客室で美登里が赤子の静をあやしていると、仗助が口を開いた。
「… 美登里ちゃんも漫画読むんだ」
「…うん、意外ってよく言われる。
今日だって宮沢くんに言われたし」
また同じことを言われるのかと思うと、美登里は苦笑いを浮かべるだけだった。
ところが、仗助はこう続ける。
「まあ実は俺…漫画を読んだことがなくてさ。
別に読まなくても何も問題はねーって思ってたんだけど、ジョセフさんが漫画好きだからさ、話題に困るんだよなー…。
俺でも読めるようなのって何かないかな?」
「あ、そうなんだ…。
私もあまり進んでは読まないけど、うーん…。
何がいいのかな…。
異色と言われてるけど、露伴先生の漫画は面白いよ。展開が読めないから、仗助くんも読めるんじゃあないかなー…」
「んー露伴の漫画かぁー…。アイツ苦手なんだよなァ」
「私も…苦手だなぁ。
でも、作品は別として面白いよ。今あるけど、貸そうか?」
美登里の言葉に頷いてみせる仗助だが、渋々と漫画を読み始める。
その姿をみて、自然に美登里は口を開いていた。
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