小説 | ナノ
屋上に行ったら幼馴染が寝ていた。昼寝だろうか、スカートの部分にカーディガンを、そして筆入れを枕にして眠る彼女を見てなんだかほっこりした気持ちになる。そしてその横に腰を下ろした。もうすぐ授業開始のチャイムがなるけれど、それもいいかと思って。
彼女が呻くたびに俺への距離が近くなっていく。彼女の発する声が妙に色っぽく感じて、ここに俺だけでよかったと思った。南沢さんなんて居た日には確実に襲われる。

かわいいな。声には出さないけれどそう思った。そして彼女へ近づいて見る。女の子特有、の俺とは違う頬の柔らかさや睫毛。これらをすべて俺のものにできたらいいのに、なんて。

好きだぜ、と彼女の耳元で囁いて少しだけ照れた。これが恋人同士で、彼女が起きていたならどうだろう。相当甘い雰囲気だ。所詮は童貞の妄想だけれど。
彼女がすき、幼馴染から卒業したい。そう思っている。神童もこの気持ちを知っている。というか、サッカー部全員がこれを知っていた。
知らないのは、彼女だけ。

「いつか告白できたら、いいのにな」

そう呟いて、俺も横になった。たしか俺たちのクラスは二時間連続の家庭科の授業だったはずだ。そう思って寝ることにした。

眠るきみに秘密の愛を

.