小説 | ナノ

蘭ちゃん、と笑いかけてくれる彼女が何よりも愛おしかった。嫌いなちゃん付けも彼女なら許せた。可愛いもかっこいいも、彼女の言葉は何よりも俺の心に響く。幼馴染みというだけではない。誰よりも、家族よりも大事なひと。
毎日手を繋ぐ事もなく一緒に登下校。クラスメイトや学校の奴らにはどう思われているのだろうか?もし、恋人に見られていたなら嬉しいと思う。でも俺に今の状況を崩す勇気がなくて、この関係ばかりが長引いてしまっていた。
今日も彼女と昨日のテレビだとかくだらない話をしながら登校。まわりにまた一緒、だとか夫婦登校だとか言われても気にしない。むしろ嬉しい。

「夫婦だって」
「そうだなあ」

彼女も気にした様子もなく笑っている。
そんな彼女に笑顔を向けて、席に着く前にそれだったら本当に夫婦になろうか?と言ってみた。賭けだったわけじゃない。俺は好きだけれど、彼女は笑い飛ばすと思った。けれど彼女からの返事は予想外のものだった。

「うん、蘭ちゃんのこと好きだから嬉しい」

やばい、こいつ可愛い。


.