小説 | ナノ

ちゅう、とキスをすれば蘭丸くんは必ず頬を染めた。好きだよ、と言い合ってキス。それが私と蘭丸くんの日課。朝登校してキス、お昼休みにもキス、部活前にも、部活が終わった後もキスをした。たまに蘭丸くんが舌を入れてくる事があるけれど、それも日常茶飯事で。彼とのキスは何より好きな時間だった。勉強より、家族より、友達よりも蘭丸くんが好き。彼もまた、サッカーも好きだけど一番はおまえだよって言ってくれたのは凄くうれしかった覚えがある。
休みの日だって蘭丸くんは部活があるけれど、応援に行った私にキスをしてくれる。頬を染めて恥じらう蘭丸くんもすごくいけめんに見える。みんな可愛いって言うけど、彼の格好いいところを私は誰よりも知っている、と思う。

だいすきだよ、と言えば彼は愛してるという。私が愛してると言えば、じゃあ将来は結婚しようという。付き合い始めた中学の頃から毎日変わらないこの気持ちは、多分以前よりずっと大きくなっていた。

大学にあがったら一緒に暮らそうね、とか理想を胸に、私と蘭丸くんはあと2カ月程で高校生を卒業する。もう一緒に住む部屋も決めた。親にあいさつだって済ませた。あとは本当に幸せの道を歩むだけ、蘭丸くんもすごくうれしそうに笑って、私に手招きをする。
ふと手を取られて、左手に付けられた指輪は蘭丸くんがアルバイトして買ってくれた指輪らしかった。これからもずっと愛してる。その言葉にうっとりしながら蘭丸くんに抱きつく。私と彼の左手には、同じ指輪がきらきらと光っていた。


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