||シンドローム


乱れゆく男女。濃密な匂い。耳を支配する甘声。・・・密室。

これだけの要素が揃った部屋で、互いに愛し合う男女が2人、ベッドに裸のままで寝そべっていた。情事を終えた後の空気と言うのは、なんとも豊満な雰囲気が漂うもので。

「蔵。あたしそろそろ着替えたい」
「だーめ。着替える前にもう一回や」
「え、2回目?」
「そ。ええやろ?」
「うーん・・・良いけど」

途切れた会話の間に持ち出された話題は、そんな内容だった。蔵は嬉しそうに笑って起き上がり、私の方へ向き直る。そのまま肩を捕まれ押し倒されたところで・・・不意に蔵が言った。

「なぁ、佑美。今回はいれるのナシにせぇへん?」
「なんで?」
「ゴムつけんのめんどいねん」
「嘘付け。蔵がやりたいだけでしょ?」
「あはは、ばれとったか」
「ま、いいけど。ならどうやってイくつもりよ」
「コレや」

蔵はニヤリと笑って、ベッド脇の棚から何かを取り出した。先の丸い奇妙な形のソレは、私にも見覚えがある。所謂、大人のオモチャという奴だった。

「それ使うの・・・?」

蔵はにこやかにうなずいて、それのスイッチを入れた。ヴヴヴ、という音がなんとなく厭らしい。蔵は再び私を押し倒すと、それをまず胸元に当てた。

「ぅ、ん・・・、なんか、変な感覚」
「気持ちええやろ?」
「蔵のが良い」
「ダメ。今回はコレだけでイッてみ」

そんな無茶な。そうは思っていたが、それが乳房の周囲をなぞり、頂点をなぞり、というのを繰り返していく内、段々とむず痒いような感覚になっていく。堪えきれずに身を捩れば、蔵がニヤリと笑った。やば、なんでこんなんで感じてんだろ。

「んん・・・ぁっ、そこ、やめて・・・っ、」
「ここ?」
「っ・・・! くら・・・、」

余裕がない。じりじりと焦らすように与えられる快感に思考が鈍る。蜜壷から液が垂れ出すのが自分でわかった。でも蔵はそれに気がついているはずなのに、相変わらず胸にしかそれを当ててくれない。

「はぁっ、あ・・・、蔵・・・」
「ん? なに? 欲しいん?」
「う、ん・・・っ」
「なら、俺のくわえて。そしたら入れたる」
「意地悪・・・」

蔵の差し出したソレをくわえ、唇でねっとりと嬲る。それに蔵が薄い笑みを浮かべた。膝立ちの蔵に対し、女の子座りと四つんばいの中間のような状態の私。蔵は私の股座に手を伸ばし、蜜壷の辺りにバイブを当てる。くるくると円を描くようにそこをなぞられ、私は彼のモノをくわえたまま腰をゆるりと捻った。

「んぅ、ふっ・・・」
「舌使って。そうせんと気持ちよくなれんで」
「ふぅ、ぅん・・・・・・」

言われたとおりにする。舐るように舌をまわし、蔵が気持ち良いようにと動かす。蔵はそれにあわせるかのようにバイブを蜜壷の中へ入れた。ヴヴヴとバイブが自分の中で音を立て、細かな振動と共に淡い快楽に包まれる。恐らくスイッチは弱にされているだろう。まだほんの入口にしか宛がってもらえていない。

「んん、ふぅんっ」
「もっと欲しいんか?」

蔵は誘うようにそう言って、私を自分の体の方へ引き寄せた。口の中では抱え込めないぐらいの質量が口内に押し入ってくる。息が苦しい。しかしそれとは相反して、バイブもまた秘所の奥へ奥へと誘い入れられた。ぐちょぐちょの液体が太ももを伝っていく。

「ぅ、ふぅっ、ううぅっ、」
「っ・・・」

舌の動きを早めれば、蔵がうめくような声をあげた。バイブのスイッチが切り替えられ、弱から中に強度が変わる。淫猥な音は更に加速を始めた。やがてバイブは中から強に、互いの動きも釣られて激しく変わっていく。しかし体勢のせいかバイブは私の最奥までは届かず、それを奥に招きいれようと私も腰を振った。

「はぁっ、ふっ、ぅっ・・・んんっ」
「あかん、イきそ・・・っ」

蔵が口内からモノを出そうとするのがわかったが、私はくわえたまま離さない。焦ったような彼の声を聞きながら、私の口の中に大量の精が吐き出された。

「佑美、なんで離さんねん!? ごめんな、吐いてええから・・・」

蔵の心配するような声。しかしそれに逆らうように、私は彼の精を全て飲み込んだ。それを終えてから、ゲホゲホと咳き込む。蔵が目を大きく見開いた。

「蔵の、なら、別に良い」
「・・・・・・それは反則やろ・・・」
「え?」
「ごめん、やっぱいれるわ」

蔵は私の秘所に差し入れられていたバイブを引き抜き、それと同時に私は切なげな声をあげた。まだ快感は足りていない。バイブではやはりイけなかったのだ。しかしその代わりとばかりに押し倒され、すぐに彼のモノが宛がわれた。

「ひっ、う・・・ああぁあっ」

バイブとは比べ物にならないほどの質量、そしてその熱。叫び声にも近い喘ぎが、自身の耳すらも劈いた。彼はまもなく律動を始め、それに合わせて私も喘ぐ。焦らされ続けた後の快楽が、こんなにも気持ち良いだなんて。

「ぁっ、あっ、あっ、ぁっ」
「・・・くっ、」
「あぁあっ・・・」

そうして彼のモノが私の最奥を突いた瞬間、2人同時にイき果てた。蔵に抱き抱えられたまま意識を飛ばした私を、彼が穏やかに見つめていた。


ーム


――――――――――――
裏の練習も兼ねて。

2012/7/21 repiero (No.54)

[14/16]
[prev/next]

[一覧に戻る]
[しおりを挟む]

[comment]

[back]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -