||白濁色


「あんっ、あっ、あぁっ・・・!!」

何も考えずに腰を振った。そうして快感に浸っている間は、ただただ幸せでいられるから。

「じゃあ、また今度」
「おん」

行為を済ませればすんなり別れる。一人になった空間はやたらと静かで、俺は無言で溜息をついた。そうしてそこで、携帯が鳴った。先ほどとは別のセフレからの電話だった。

「・・・もしもし」
『久しぶり。佑美だけど、今から行って良いかしら?』
「構わんぜよ」
『そう。じゃあ行くわ』

電話を切る。乱暴に携帯をベッドに放って、後ろに倒れ込んだ。何の抵抗も無くベッドがそれを受け入れ、それが逆に自身の疲労感を引き立たせた。

こんな生活は、いつから続いていた事だろうか。欲のままに身体を重ねて、それが済んだらまた別の女と行為を繰り返して。それでもまだ、満足できない。
欲望と言うのは、底なしの沼のようなものだ。一度そこに飛び込んでしまえば、どんなに求めても求めても、ただ泥濘にはまっていく事しかできない。

・・・ピンポーン

チャイムが鳴った。恐らく相手は先ほどのセフレ。思いの他来訪が早かったので少し驚いたが、俺はすぐに玄関へと向かった。そうして女を招き入れ、ベッドに座る。女は妖艶な笑みを浮かべてそれを見た。

「さっきまでヤッてたんだ」
「別にええじゃろ」
「ええ、その方が貴方もやりやすいでしょうし」
「・・・ヤるならさっさとするぜよ」

女は肩をすくめ、それから恥らう事もなく服を脱いで下着姿になった。長い黒髪を鬱陶しげに払うと、隣に腰掛けてくる。それを確認するなりすぐに押し倒した。

「あら、今日はずいぶんとせっかちね」

笑う女の声も無視で、ブラジャーを上にずり上げて両の突起を舐め上げた。僅かに女が震えたのを見てひとつ舌なめずりすると、片方の突起にしゃぶりつく。
舐め取るように、甘噛みするように、吸い上げるように。ちゅっ、ちゅっ、という淫猥な愛撫の音が部屋に響いて、女が笑みを零して身悶えした。待ち望んでいた快感にありつけた開放感に、悦の表情を浮かべているようにも思える。

「ん・・・はぁ・・・・・・」

甘い吐息が漏れた彼女の唇に、指を2本差し込む。すると彼女は器用に舌を使ってそれを舐め始めた。別に快感があるわけではないが、その淫乱な表情に俺は思わず笑みを零した。
指はそのままに、俺は唇で突起の愛撫を続けた。あいたもう一つの手で愛撫していない方の突起を転がし、クニクニとくねらせて遊んでやる。んん、と気持ち良さそうに女が喘いだ。

「・・・そろそろ、触るぜよ」

俺の言葉に女が頷くのが後か先か、彼女の唇から引き抜いた指を2本とも下着にあてがった。そのまま円を描くように下着をなぞると、じんわりと温かいものが滲んでくる。指を擦り付けるように激しく秘部を刺激すれば、女が高く鳴くと共に下着がじっとりと濡れた。

「んっ、はぁん・・・・・・っ、雅治、そろそろ・・・」
「・・・わかってるぜよ」

待ちきれない様子の女の下着を一気に脱がし、露になった蜜壷に己を宛がう。ゆっくりとそれを奥へと忍ばせていくと、女が荒っぽく息を吐き出した。そうして最奥へ届くかどうかの内に、腰を激しく動かし始める。

「はっ、ぁあ、あっ、あっ、」

互いの擦れ合う音が、ぐちょぐちょという卑猥な水音となって耳に響いた。振動でぶるぶると揺れる女の豊満な胸が、更に俺の欲望を加速させていく。

「あぁんっ、ぁっ、あっ、ああっ、ぁっ、」

女はもはや何を考える余裕も無いようで、ただ一心に甘い喘ぎ声を上げ続けていた。俺はそんな姿を見つめ、ほとんど無意識的に小さな笑みを零す。しかしその直後、女がイッた。急に締め付けがキツくなったからわかる。一瞬だけそれに動きを止めかけたが、俺はまたすぐにピストン運動を開始した。

「ちょっ、待っ・・・ぁあんっ」

流石にイきながらセックスを続けるのは辛いようだったが、すぐにまた与えられる快感の海に溺れたらしかった。ガツガツと、貪るように腰を振り続ける。

「あっ、ぁあっ、あっ、あっ、あぁぁぁっ!!」
「・・・くっ、」

女がひときわ高く鳴くのと同時、俺は彼女の中に精子を吐き出した。それから一気に引き抜く。取り付けていたコンドームを外すと、女の身体の上に白濁液が数滴垂れた。

「はぁっ・・・はぁっ・・・・・・」

荒く息をする女を一瞥すると、簡単に事後処理をした後、再びベッドに腰掛けた。女も起き上がって調子を整える。

「・・・お前さんは楽で良え」

ぽつりと、自分でも思いがけず呟くと、女が訝しげにこちらを見た。それから口元に怪しげな笑みを浮かべて、

「私はあなたが嫌いよ」

と言った。俺は思わず驚いて、女の方を見た。まさかそんな言葉が飛び出すとは思っていなかったのだ。それに、嫌いならばこうしてセックスになんて誘わなければ良いのに。

「あなたは顔が良いしセックスも上手いから」

俺の思考回路を読み取ったかのように、女は嘲笑を浮かべてそう言った。しかしそれに、でも、と続ける。

「あなたは女を物としか思っていない」
「・・・そりゃお前さんもじゃろ」
「まぁね。私にとってあなたはただの快楽の道具よ。だから嫌いなの」

女の言葉に思わず眉を寄せる。意味がわからない、と呟けば、女はまた嘲る様な笑みを浮かべて口を開いた。

「別にわかる必要もないわ。あなたは私の道具でいてくれれば良いんだから」

女はそれだけ言うと立ち上がり、簡単に処理をすると服を着替えて出て行ってしまった。俺は特に何も言う事無く、その後姿を見つめる。そうして間もなく、バタンという扉の音が聞こえた。

「・・・快楽の道具、ね」

ずい分成り下がったものだと、息を吐く。しかし確かに、今の自分は快楽の道具。もっと正確に言えば、ただ快楽だけを求め続けるカラクリ人形かもしれない。

「ぴったりじゃ」

小さく自重気味に、それでいて納得するように呟いて、俺もまた立ち上がった。放ってあった携帯を取ると、適当なセフレに電話をかける。まだ、まだ、物足りない。

「・・・もしもし?俺じゃ」

笑みを描く俺の表情は、どこか悲しそうに歪んでいた。


濁色


求めるほどに、俺は堕ちていく。
――――――――――――
裏をもう少し上手く書けるようになりたいです。
長編も。なんでああもgdgdしてしまうのだろう。

2012/4/18 repiero (No,39)

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