||変態、上等。


※初っ端から下ネタありますのでご注意を!



「ねぇねぇ、男ってさ、好きな子の事妄想しながらオナニーするわけ?」
「は?」

唐突にこんな事を聞かれてしまったら、それが例え幸村だろうと、素っ頓狂な声を上げてしまう事だろう。あぁ、久しぶりに2人きりだというのに、佑美ときたらいつもそれを台無しにするのだから。

「昨日考えてたのよ。女と男のオナニーのオカズの差ってなんだろうって」
「・・・なんでそれを俺に聞くんじゃ」
「彼氏だからよ」

懇親のドヤ顔だった。

「確かに俺以外には聞いてほしくない質問じゃが、それでもどうかと思うぜよ」
「えー」
「えー、じゃなか。答えんよ、俺は」

溜息をつきたくなってしまう俺の気持ちをわかってくれる人はいないのか。なぜ愛しの彼女にこんな質問をされているんだ、俺は。

「お願い、教えてよー」

その上目遣いは反則ぜよ・・・。だめだだめだと言いつつ、けっきょく答えてしまうのは俺が佑美を好きだからじゃろうか。

「・・・まぁ、強いて言うなら、妄想みたいなのはせんよ」
「え?しないの?」
「実際の記憶を思い出しながらとか、そういう事がほとんどじゃと思うぜよ」
「へぇー。ちなみに仁王は何を思い出しながらするの?」

ブフッ

飲んでいたお茶を盛大に噴出した。うわー仁王きたなーい、なんて佑美が棒読みで言う。ゲホゲホと咳き込んだ後、睨みつけるように彼女を見た。

「・・・な、なんでそんな事聞くんじゃ・・・・・・」
「なんとなく?」

なんとなくでそういう事を聞くな、阿呆。そこは暗黙の了解というものだろう。

「教えてくれたって良いじゃない?私も教えたげるよ」
「ほぉ、何を考えとるんじゃ?」
「仁王の裸」
「・・・・・・それは喜んでええのか?」
「え、だめ。キモい」

わりと真顔で言われた。・・・なんで俺が傷付いとるんじゃ?

「で、仁王はどうなの?」
「・・・言いたくないんじゃが」
「じゃあ一番最後の時は?」

・・・・・・答えていいのか?これ。

「・・・おまんと、セックスした時の事じゃったかの」
「おぉ。その前は?」

意外と普通の反応だった。

「同じじゃ」
「その前は?」
「言えん」
「もしやAVとか見てた?」
「違う」
「じゃあ良いじゃなーい」
「言えん」
「・・・ケチ。まぁ、良いや」

よ、良かった・・・。まさかセックス直後の佑美の写真でとか、言えるわけがない。言ったら殺される。そして取り上げられる。

「なんで私なの?」
「他のが良かったんか?」
「いや、違うけど」
「ならええじゃろ」
「うーん」
「・・・何が不満なんじゃ」

彼女はほんの少し不満げな顔で、俺はそれに眉を寄せた。聞いておきながらなんだ、と言ってやりたい。言えないのが俺なのだが。

「いや、仁王キモいなと思・・・痛っ」
「おまんが言えっつったんじゃろ」
「うそ?」
「ほんまじゃ。なんで俺が好き好んで自分のオカズの話をしなきゃならんのじゃ」
「でっすよねー」
「・・・はぁ」

溜息が出てしまうこの気持ちをわかってくれる人がいないのが歯がゆい。まさか他人には相談できないからの。

「いやー、オナニーって奥深いね」
「・・・お前は何に神秘を感じとるんじゃ」
「性行為に」
「はっきり言うな」
「言えっつったじゃーん」
「言っとらん」
「えー」
「えー・・・」

はぁ・・・。あ、また溜息でた。

「あ、仁王」
「なんじゃ」
「好き」
「・・・突然じゃな」
「良いでしょ?好きなんだし」
「・・・俺も好いとぉよ」

疲れきった表情で、ふ、と佑美に笑いかける。するとそれに、彼女がほんの少し顔を赤くした。

「ん」
「・・・・・・どうしたんじゃ?」
「いや、今日のオカズが増えたなぁって・・・」
「は?」
「仁王のその顔、可愛いわ」
「・・・・・・」
「あ、ちょ、無視?」


態、等。


その後何度か名前を呼ばれたが、全て無視してやった。・・・もう知らん。
――――――――――――
元々はセリフのみの話でした。

2012/3/3 repiero (No,29)

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