||優しさが痛い





翌日は月曜日だった。のろのろと登校して、だらだらと授業を受けて。やる気が全く沸いてこない。
今日は部活を休んで帰ろうか。そんな事を思っていた私の耳に、嫌いな先生の声が聞こえた。

「中原、丁度良いところに!」
「・・・・・・なんですか」
「このプリント、理科室まで運んでくれないか?」
「は・・・」
「じゃ、頼んだぞ」
「ちょっ、田中せん・・・、」

私が声をかけるより早く、先生はどこかへと消えた。私の手に、大量のプリントを持たせたまま。
・・・だから嫌いなんだよ、アイツ。

「・・・はぁ、理科室か。けっこう遠いな・・・・・・」

ため息を漏らしてから、私は足を踏み出した。ずっしりとプリントの束はかなり重い。
ヨロヨロと歩いていって、私はようやく理科室に辿り着いた。適当に束をおいて、理科室を出る。すると、誰かにぶつかった。

「ごっ、ごめんなさい」
「いや、こっちこそ悪・・・って、愛華?」
「あ・・・ブン太さん」
「どうしたんだよぃ、こんなところで」
「・・・その、」

視線を泳がせ、口ごもる。どうにか言葉を紡ごうと口を開いた瞬間、ポロ、と冷たいものが頬を伝った。

「あ、」

やばい、止まらない。
堰を切ったように涙を流す私に、ブン太さんが慌て出す。私はそれに顔を青くしと、それから逃げるように走り出した。

「愛華!?」

どうしよう、なんで泣いちゃったんだろう。泣くつもりなんてなかったのに。

「待てよぃ!!」
「こっ・・・、来ないで!なんでもないから!!」
「待てって言ってんだろぃ!」

ぱし、と腕を捕まれて、そのまままるで反対の方向にブン太さんが走り出した。腕を振りほどく事もできなくて、私はただ黙って腕を引かれた。

「ブン太さん・・・!?」

あなたはどうして、そんなにも優しいの?

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