||突き付けられた事実





恋をしてしまった。決して届かぬ相手に、私はまた、恋をしてしまったのだ。

「・・・ほんと、私って馬鹿」

自重気味に笑って、足の進みを早める。今日は気分転換に外に出たのに、さっきからブン太さんが気になってならない。
傷付くだけなのはわかっていたのに、私はまた性懲りもなく恋をしてしまった。昔からそうだ、私はいつも妹と同じ人を好きになる。
私が先に好きになった事もあるし、舞華が先に好きになった事も勿論ある。・・・でも、そのどれもが、報われずに終わった。いつも相手に思われていたのは舞華で、私じゃない。

今回だってそうだ。私はいつも、恋をしては報われない辛さに泣いてしまう。

「・・・あ、」

不意に、遠くに見えた影に足を止めた。あれはたぶん・・・ブン太さんだ。

「なんで、こんな時に・・・」

彼への気持ちを紛らわせようと遊びにきていたのに、まさかその彼に出くわしてしまうだなんて。
・・・でも、これはチャンスなのかもしれない。ブン太さんに話しかけて、少しでも近付けばあるいは・・・。そう思って足を踏み出した私だったが、・・・すぐに、その足は止まった。

「舞華・・・」

ブン太さんと共に、舞華が笑っているのが見えたから。とても、とても楽しそうに。

「・・・・・・」

きゅ、と唇を噛んだ。私は軽くうつむき、それからしばらくしてその場を去った。

2人とは、反対の方向へ。

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