||交わした言葉





家に丸井さんがやってきた。今日は平日だけど、部活帰りにウチに寄ったらしい。私はあまり邪魔にならないようにしつつ、2人にお茶を出してやった。

「ありがと愛華!」
「うわー、舞華とそっくりだよぃ!この人が愛華さん?」
「うん、そうだよ。私の双子のお姉ちゃん!」
「そうか、俺は丸井ブン太だ。シクヨロ!」
「あ、はい。妹をよろしくお願いします」
「もー、何言ってんの愛華ってば!」

あはは、と軽く笑い合って、私はそっと席を立った。お茶は出したし、ここにいる必要は無い。仲良さげに喋ってるし、長居して気まずくさせるのも申し訳ない。

「・・・あ、お姉ちゃん」
「ん?なに?」
「ちょっと漫画探してくるからさ、その間ブン太と喋っててくれない?」
「え?それなら私が漫画を・・・」
「いいからいいから。ね、お願い!」
「・・・うん、わかった」
「ありがと!!」

どうやら会話の流れで漫画を貸す事にでもなったのか、愛華は慌てたように部屋を出て、階段を上っていった。ここはリビングだが、私たちの部屋は2階にある。
さっきまで愛華の座っていた場所に腰を下ろして、にこりと丸井さんに笑いかけた。すると、丸井さんが驚いたように目を丸くした。

「へーっ、笑った顔までそっくりだよぃ!」
「よく言われます。でも性格は全然似てないんですよ」
「確かに、あいつ初対面の時敬語なんて使ってこなかったな」
「クス・・・、そうなんですか?」
「なんつーか、舞華は元気系で、愛華はお淑やか系?なんだな」
「良く言えばそうかもしれません」
「良く言えば・・・?あ、普段ははっちゃけてるって事かよぃ?」
「そんな感じです」

にこにこと笑顔で会話を続けてみれば、意外と会話が弾む。丸井さんの方が興味津々という感じなので、会話がしやすかった。純粋に、良い人だな、と思った。
・・・舞華とも、普段こんな感じなのかな?良いな、楽しそうで。

「俺も愛華さんのはっちゃけたとこ見てみたいぜぃ」
「え?」
「よし、じゃあ今から敬語禁止!良いだろぃ?」
「え、あ・・・、はい」
「ほらもう敬語使ってるよぃ。いつも通りで良いんだぜ?」
「・・・う、うん。ありがと、丸井さん!」
「あー、その丸井さんも禁止!名前で良いよ、かたっくるしいから」
「・・・う、わかった。じゃあ、ブン太さん」
「なーんかまだ違ぇなー・・・。ま、良いか」

ブン太さんが、にか、と笑う。私もそれに釣られて微笑んで、それから他愛の無い会話に花を咲かせた。すぐに舞華は帰って来たけど、大分仲良くなれた。ブン太さんって本当に良い人だ。舞華が好きになったのもわかる。

「ごめんね愛華、ありがと!」
「ううん、良いよ。・・・それじゃあ、ブン太さんまた今度」
「おぅ、またなー!」

笑顔で手を振って、部屋を出た。それに舞華が驚いたように目を瞬かせて、それから小さく笑った。後ろの方で、愛華に浮気したら許さんからなー、なんて声が聞こえてくる。私はそれに小さく微笑み、階段を上っていくのだった。

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