||これは嘘か真か
◇
【愛華side】
ごめん。
意を決して開いたメールに書いてあったのは、たったそれだけの内容だった。その他に何も書かれていない、本当にそれだけの内容。送り主は丸井ブン太、ついさっき電話で辛辣な言葉を浴びせた相手であった。
(なにが、言いたいんだろう)
その謝罪は、何に対してのものなのか。
私に対してか、私たち姉妹に対してか、それとももっと別なものか。彼が私に謝るべきことは幾つか考えられたけれど、でも私だって、彼に謝らなくてはいけないことがある。それは無論、舞華に対しての謝罪でもあるが。
(ごめんなさい)
ベッドにうつ伏せて、クッションを抱き締める。
(私、まだ、)
じんわりと、クッションが濡れていくのがわかった。ず、と鼻水をすする。あんな大見得を切っておいて、なんて情けないんだろうかと思った。でも、ああするしかなかった。舞華の幸せの為には、私が身を引いた「フリ」をしなければいけなかったんだ。
(・・・好きです)
一度恋してしまったからには、しばらく纏わりついて離れないであろうこの気持ちを、私はその時酷く後悔した。
「・・・よく似た双子」
なにも恋する相手まで同じじゃなくても良かったのにと、今まで何度怨んだことか。困惑した気持ちと、後悔とを織り交ぜながら、力任せにクッションを床にたたきつけた。
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