||嘘と策略





[ブン太side]
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To:丸井ブン太
From:中原愛華

夏祭りの集合場所のことな
んだけど、駅の近くの噴水
公園にしてもらえないかな

もし大丈夫だったら、返信
はいりません。
――――――――――――

「噴水公園?」

夏休み前日の夜、ちょうど愛華に電話をかけた後のことだった。突然愛華からのメールが届き、俺はその内容に首を傾げた。彼女にしては珍しく理由も何も書かれていないし、前置きも何もない。変更があるのなら、先ほどの電話で伝えてくれれば良かったのに。もしかして、舞華が傍にいて言えなかったのだろうか。まぁ、別に場所が変わったところで特に問題もないので、俺は返信せずにそのまま携帯を閉じた。





夕方6時頃、俺は急ぎ足に駅前へと向かっていた。舞華との約束があった為だ。ここで彼女と会って、それから、別れる。そのつもりで、覚悟を決めて来たものの、なかなか彼女は現れない。そもそもあまり会いたくない人物だった為に、20分ほど待ったところでイライラが限界を超え、「帰る」とだけメールを送ってその場を立ち去った。





「・・・あ、いたいた」

時間は経ち、8時の少し前に噴水公園につくと、遠目で愛華の姿が見えた。ここは彼女の家から、駅に行く途中にある公園だ。どうしてわざわざ家に近いところを選んだのかはわからないが、彼女なりの考えがあるのだろう。俺は笑顔で彼女に近付いて行った。しかし、近くまで来て、足が止まった。笑顔も消える。目の前に立つ「愛華」は、それに不思議そうな顔をした。

「・・・・・・お前、舞華だろぃ」
「は、なに言って・・・・・・」
「嘘つくなよぃ。俺が愛華と舞華を間違えるわけがねぇ」

キツく睨みつける。すると「愛華」はへら、と笑って、

「あは、ばれちゃった」

薄い笑みを浮かべた。

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