||ひとりぼっち





とぼとぼと、帰路を歩いた。行く時はあんなにも近く感じられたのに、今までの期待も気力も根こそぎ奪われた帰り道は、異常と思うほどに遠い。自然、足を運ぶスピードも遅くなっていった。

「・・・・・・舞華?」

家で待っているであろう母や舞華に、なんと言い訳をしようか。そう考えている内、私は遠くに見覚えのある姿を見つけた。帰り道にある噴水公園の奥に、2つの人影が見える。ひとつは舞華、もうひとつは・・・・・・。もう、確認するまでもなかった。

「なん、で」

別れると言ったじゃないか。友達としてで良いから、夏祭りに一緒に行こうって。誘ってくれたじゃないか。
舞華の不幸を笑うわけじゃない。でも、私は彼のその言葉に少なからず、いや、大いに喜んでいたのだ。好きな人が、自分を選んでくれたことを。今度こそ、好きな人と付き合うことができるかもしれない、と。

2人はこちらになど全く気がついていない。なにかを話しているようだったが、それが一体どんな様子なのかは、よくわからなかった。仲睦まじげなのか、それとも実はただ傍に寄り添っているだけなのか。向かい合って立つ2人の間には、甘い空気が漂っているように見えた。

(うそつき)

うそつき、うそつき、うそつき、うそつき。

「うそつき・・・っ!!」

涙がこぼれた。こうなることは、わかっていた筈なのに。でも、希望を捨て切れなかった。誘惑に勝つことができなかった。自分の立場なんて、嫌になるほど理解していた筈なのに。

逃げるように走り出した足は、浴衣を着ているせいで思ったようには進まない。こんなもの、着てこなければよかったのに。

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