||信じるべきか否か





(・・・ブン太さん?)

屋上でブン太さんと別れて間もなく、携帯のバイブが鳴った。届いていたのはブン太さんからのメール。すぐに玄関にいるはずの舞華の元に向かったのかと思えば、まだどこかで油を売っていたらしい。

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To:愛華
From:丸井ブン太

さっきは突然ごめんな。
夏祭り、俺と一緒に行って
くれるか?もし大丈夫だっ
たら、返信くれ。
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私は携帯を操作していた指を止めた。彼がそんな風に言ってくれているのが、未だに本当かどうか信じられなかったから。嘘じゃないというのはわかっている。しかし、あれほど舞華と仲良くやっていた彼が、私の方を向いているなどというのはどうにも考えられないのだ。

(・・・なんて返せば良いの?)

私は少し迷った後、けっきょく「友達としてだったら」と返信を返した。友達として以外に何があるのかと言えばそれも困る話だが、でもそう言っておかなければ、私は舞華に顔向けができなかった。

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To:愛華
From:丸井ブン太

ありがとな。

じゃあ最終日あいてるか?
駅前の噴水広場に、8時頃
集合しようぜぃ!
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最終日か。夏祭りは3日間連続であるが、最終日は特に花火の質が違う。彼が最終日を選んだのは、きっとそのせいだろう。私はそれに「わかった」とだけ返信して、携帯を気にしながらも玄関に向かって歩いていった。玄関を出る。その時舞華にすれ違ったが、互いに何も話すことはなかった。そうしてちょうど校門を出る頃に、携帯が鳴った。ブン太さんからのメールだった。

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To:愛華
From:丸井ブン太

約束だぜぃ!
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約束。約束、か。

「信じて、いいんだよね?」

私はそう小さく呟いて、逃げるように家に帰った。

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