||認めたくない関係





「じゃあな!」
「うん・・・ばいばい」

教室を出て行くのは笑顔のブン太。それを目線で追っていくのは私の姉である愛華。あの一件以来、この2人の仲が異様に良い。・・・いや、ブン太の方が必要以上にお姉ちゃんと仲良くしているんだろう。
今日もブン太はお姉ちゃんに楽しそうな笑顔を向けて、他愛のない話で盛り上がる。今までは私にしてくれていた事を、今はお姉ちゃんにやろうとしている。
お姉ちゃんは甘んじてそれを受け入れ・・・むしろ、嬉しそうにしている。きっとお姉ちゃんも、ブン太の事が好きになってしまったんだろう。今までそうだったように、今回も、きっと。
毎回、勝つのは私だった。私が選ばれたこともあったし、お姉ちゃんが身を引いてくれたこともあった。でも、どんなやり方であれ最後に笑っていたのはいつも私で、お姉ちゃんは影からそれを見て微笑んでいた。酷いとは思うけれど、いわば私達は、光と影のような存在なのだろう。
だから今回も、そうなるはずなのだ。ブン太を手に入れるのは私で、影に身を引くのはお姉ちゃんで。ついこの間まではその構図が完璧に描かれていたのに、・・・今はどうだ。まるで立場は逆で、ブン太は私よりお姉ちゃんを選んでいるように見える。

「・・・ブン、太」

負けたのが悔しいわけじゃない。でも、大好きな人に選んでもらえないこの苦しみは、酷く辛かった。





「・・・・・・」

放課後の教室に、髪をサイドに束ねた少女が佇んでいた。特に用があるわけでもなく、ふらりと立ち寄ったこの場所で、少女・・・愛華はぼうっと窓の外の方を見つめる。そうしてその奥に赤毛の彼の姿を見つけ、届かないその辛さに静かに泣いた。

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