||しきさいさんかく。


「なあ、色って同じだと思う?」
「・・・もっとわかりやすく言いんしゃい」
「俺がが見てる「赤」は他人から見たら俺の言う「青」の色かもしれない。でもその人はの「青」を「赤」と認識している。だから同じ色を共有することは不可能。「夕日の色」と言ってもその人には「夕日の色」も俺の言う「青」なのだから意味がない」

そう言ったら仁王はジトっとした目で見てきた。

「なんだよ?」
「馬鹿そうな外見で色々考えてるとかキモイぜよ」
「色々考えてそうな外見で頭の中すっからかんのお前のほうがキモイだろい」

この前のテストでもお前ギリギリだったろ、と続けると仁王がはいはい、という風に黙った。もう一度思考を元に戻して考える。
俺の好きなあの子は何色を見ているのだろうか。次々と素晴らしい絵を書き上げるあの子が本当に見ている色や景色を見て見たい。透明感があって、触ったら壊れてしまいそうな美しいあの子を思い浮かべてうっとりとした。

「俺は同じじゃと思うんじゃけどのう」

ポツリとそういった白っぽい銀の髪が動物のしっぽのとうに揺れる。こいつにとっては俺の言う白っぽい銀であるのだろうか。

「皆見てるもんは同じじゃ。視力の差はあっても色とかは同じじゃろ」

そうかねぇ、なんて言葉を返しながら持ってきていたドーナツをほおばる。うん、うまい。

「・・・お前さんは、アイツに影響されすぎじゃ」
「今更なんだよい」

仁王のいうとおり俺はあの子に影響されてる所が多い。色のことを考えるようになったのもあの子が絵を描くからであり、成績がよくなったのもあの子が頭のいい男が好きだからであり、髪の色を赤くしたのも彼女がこの色を気に入っているからである。

「どんなに頑張ってもアイツは幸村から離れんぜよ」

確かに幸村が世界で一番好きだと美しい笑顔で話した彼女は俺なんかに目もくれていないだろう。幸村だって俺があの子を好きなのを気付いているはずなのに、何も言ってこないということは、その程度だということ。

「なあ、ブン太」

静かに自分の目から流れた涙の色は何色かなんて、視界がぼやけて分かるはずもなかった。それでもあの子が愛しい俺は結局の所何も考えちゃいないんだ。困った顔でこちらを見る仁王に、小さな笑みを浮かべると何故か涙がブワッと溢れ出した。


しきさいさんかく。


――――――――――――
相互記念におとはさんよりいただきました!
哲学的な話をする3B、と非常に面倒なリクエストをさせていただいたのですが、こんな素敵な小説を書いてくださいました・・・!

それでは改めまして、相互ありがとうございます!
これからどうぞよろしくお願いいたします^^


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