||盲目ブラザー


俺の妹がこんなに可愛いわけがない。

数年前だったか、そんなタイトルの小説が出版された。果たして俺がその小説に熱い興味をもち、手にとって読むというところまでたどり着くことはなかったが、しかしこのタイトルに関して俺は並々ならない共感というものを抱いていた。いやむしろ、共感しすぎて逆に気持ち悪いくらいだ。

(※こっからセリフ長いです)

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない、っていうか可愛くないわけがないよね、だって俺の妹だよ?俺の。男の俺ですら美人だとか可愛いだとか微笑みの天使だとか散々いわれてるのに女に生まれてきた我が妹が同じこと言われないはずがないよね。むしろ言わない連中はなんなの?嫉妬なの?嫉妬乙なの?あの上目遣いな瞳とさらさらな髪と白くてすべすべな肌とぷるぷるの唇と美声になぜ可愛いと思わないの?機嫌悪そうなときですら可愛いのにあの子に微笑みという武器を備えさせちゃったのはどこの悪い神様?あ、俺神の子だった。でもあの子は本当に天使。下手に触りたくなくなるくらい綺麗で神々しい天使。あ、神々しいっていうのは決して俺みたいなってことじゃなくてもう全身が発光しちゃってる的な意味ね?あの子はもう俺なんかの妹として生まれてくるべきじゃなかったんじゃないかと最近真面目に思ってるんだけどでも他のやつらの妹として産まれて来てたらマジそいつブチ殺☆だよね。でもなんか俺の妹でよかったのかなってほんとお兄ちゃん心配なんだよね、お兄ちゃん大好きとか昔みたいに言わなくなったし。前は抱きしめてあげると頬赤らめてお兄ちゃん大好きだよって言ってくれたのに今じゃ抱きしめると嫌がるからね、思春期なんてものを設定したのはどこのクソみてぇな悪魔?まあそんな絶賛思春期なところも可愛いんだけど。あ、っていうかこの前俺が送った写真見た?振り向きざまの天使の表情見た?ねぇ見た?見たよね見ないわけがないよねあの超絶天使ショット。もう綺麗に撮れすぎちゃって他のやつらに見せるのは正直もったいないなとか思ったんだけどでもこの仕事しすぎな天使っぷりを誰かと共有しなければ俺の心は収まってはくれなかったんだよね、ああ俺の妹超可愛い超美人超微笑みの天使。カミサマ俺の妹として産まれさせてきてくれて本当にありがとうあと真田死ね」
「とりあえず落ち着け精市お前の妹はともかく俺はお前が微笑みの天使なんて呼ばれてるのは聞いたことないぞあとシスコンも大概にしろ。そろそろお前の妹がうざがりだす可能性12%だ残念ながら非常に低い。それと真田自体には何の罪もないからそろそろ部活でいびるのをやめてやれ本当に倒れる」
「ふふん俺の妹だからね。むしろ12%もあることにお兄ちゃんはショックでたまらないよあと真田はどうでもいい」

(※セリフ終了^^;)

俺のまったくいつも通りな様子に蓮二がため息をこぼし、呆れたように首を振った。それに何か言おうと口を開く俺だが直前にぴくりと気配を察知し、それから勢いよく振り向いた。

「あっ、やっぱりいた俺の妹!可愛い可愛い妹!綾乃!おいで!」
「・・・あ、お兄ちゃん・・・」

廊下を通りかかっていったのは妹の綾乃。色々言いたいのを抑えてあえて一言でこの子を表すとしたら「天使」である。赤也?あんなん馬糞でしょ(全国の赤也ファンの皆さま大変申し訳ございません管理人は赤也も平等に愛してます(土下座))。

「私に何か用事?・・・あ、柳先輩こんにちは・・・」
「ふむ、こ「おいお前なにうちの可愛い妹に挨拶されてんの?挨拶されたら返す前にまず「ありがとうございます」が基本でしょうほらサンハイッ「やめてお兄ちゃん恥ずかしいから・・・」あ、ごめん綾乃」・・・」

控えめに言う様子も可愛い。家ではもうちょっと元気なんだけど、外に出るとしゅっと大人しくなるんだよね。まあどっちも可愛いけど。

「あ」
「ん?どうかしたかい我が天使よ」
「精市それは色々と駄目だ」
「さ・・・っ、真田さんだっ」

・・・なんだって?

妹の熱い視線(死ねば良い真田)を追いかけるようにしてすぐさま振り向くと、そこにはいつもの帽子を被って下級生に指示を飛ばす悪い虫の姿があった。そう、真田は俺にとって妹の心を惑わす悪い虫でしかないのである。
綾乃は、なぜか小さい頃から奴のファンなのだ。

「全くあんな真面目だけが取り得のお堅い奴のどこが良いんだか。クラスにも馴染めなすぎて逆に馴染んでる上なにかある度そのお優しいクラスメイトたちに鉄拳飛ばしちゃうような奴がさぁ」
「真田さんの悪口言わないでよ!」
「グハァ俺いま完全に心を射抜かれたわその必死なちょっと怒ってるような表情にズキューンされたわあと真田死ね豆腐の角に頭ぶつけて死ね」
「精市は相変わらず綾乃がいるとうるさいな、いなくてもうるさいが「ついでに蓮二も豆腐の角に頭ぶつけて死んで^^(誰がいつ妹のことを名前で呼ぶ許可だしたゴルァ)」綾乃本人だ」

そんなやり取りをしている内に遠くにいた悪い虫がこちらに気がつき、どうせ特に用事もないだろうに歩み寄ってきた。それに妹が反応してぽぉっとなり、連鎖的に俺の真田への殺意がピークに達したところで真田が俺たちのすぐ前に到着する。それから1秒、見事真田の腹部に俺の拳がクリーンヒット、軽くよろめく真田、真っ青になって大丈夫ですかと声をかける優しい俺の妹。

「お兄ちゃんなにするの!?」
「なにって害虫退治だよふふふほら離れて離れて」
「もうっ・・・大丈夫ですか、真田さん!」
「あ、あぁ・・・問題ない」
「・・・!!「落ち着け精市、にっこり微笑むな握りこぶしを作るな黒いオーラを出すなそしてこっちを見るな」」

見るなって言うほうが無理だろう、これから可愛い妹のために害虫退治に精を出そうとしているのを邪魔されたら。しかし妹に可愛く睨まれてしまったので一旦拳は収めることにするが。

「真田さんにこんなことするなんて・・・っ」
「ん?なにお兄ちゃんのこと見直した?よしさぁ飛び込んでおいでお兄ちゃんの胸に!Come on my anjel!」
「・・・真田さんを突然殴ったり・・・無駄に発音良くてムカつくお兄ちゃんなんか・・・・・・!」
「?」
「・・・精市、忠告だが聞かないほうが「大っ嫌い!!!」・・・言ってしまったな綾乃」

・・・嫌い?15年間一度たりともそんな言葉を浴びせられなかったしむしろ愛されてると思っていたのに、ここにきて「嫌い」?

「・・・・・・」
「・・・・・・忠告するが弦一郎、逃げたほうが良いかもしれない」
「む、それはなぜ「死ねェェェ真田ァァァァァ!!」!?」


目ブザー


その後綾乃に「こらっ!」と怒られるまで暴走し続けました。(終われ!)
――――――――――――
長くて読みづらいセリフが大部分をしめてますすいません。
シスコン幸村と、真田ファンな妹ということで。

この度は相互、ありがとうございます。
これからどうぞよろしくお願いいたします^^

2013/4/8 repiero (No,125)


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