||掘り出し物


はいこんにちは!立海のアイドルこと綾乃です!・・・はいすいませんでした調子乗りました。ほんとのこと言うと、立海男子テニス部マネージャーの綾乃です。今日は長期休暇が近いこともあって、みんなで部室の掃除をしています。

「それにしてもきったないねー」
「更衣室の方はともかく、奥の部屋はほとんど使われていないからね」
「更衣室は個々に任せるとして、私は先にこっちの整理でもしてるよ」
「あぁ、頼む」

さて、ちょっとめんどくさいけど掃除始めるか。ジャーマネことマネージャーの私の本気、とくと見よ!なんつって誰も見てないけど。

「・・・ん?なにこれ」

とりあえずあたりを見回してみてすぐに、私は気になるものを見つけた。薄くほこりを被った棚の中に、ボロボロの一冊のノートが置かれていたのだ。見た感じ、試合のDVDやらテニスの本やらを入れていた棚のようだが、この部屋が使われなくなって久しい為か、そこにはそのノートしか残されていなかった。そもそも今は柳がDVDとかの管理をしてくれているし、だからこそこの部屋も必要なくなってしまったのだろう。

「えーと・・・『立海男子テニス部の・・・闇』!?」

でかでかと、そして小汚い字で書かれたその言葉。テニス部の闇だなんて、よくもそんな大それたことを書けたものだ。3強辺りに見つかったらどうなることか。それとももしかして、これはもっと昔の先輩が書いたものなんだろうか?それにしても、どうしてこんなところに・・・・・・。

「ねぇねぇ皆、なんか面白いもの見つけたんだけど」
「なんじゃ?綾乃の昔の写真でもあったんか?」
「あるかボケ。・・・ほら、これこれ。棚ん中に入ってた」
「・・・『立海男子テニス部の闇』?」
「怪しげなノートですね・・・」
「なんだい、それ。綾乃が書いたのかい?」
「いや違いますって笑顔が怖いですよ部長サン」
「よっし、早速見ようぜぃ!」
「いやちょっと待ってくださいよ!もし不味いこと書いてあったらどうするんっすか!?」
「まずいことってなんだよぃ」
「えっろいこととか?」
「仁王先輩は黙っててください。そうじゃなくて、こう・・・もっと俺たちにとって危機迫るような内容だったりとか!」
「はいはい厨二病乙。んなわけないだろぃ」
「例えそのような内容であったとしても、所詮は誰かの悪戯でしょうからね」
「で、どうする?見るかい?」
「私は見たいっ!」
「あ、マネージャーだから自分はあんまり関係ないと思ってるだろ。もしかしたら関係あるかもしんねぇぞ?」
「だって、私たちのことじゃなくて、もっと前のことかもしんないじゃん?」
「そうだけどなぁ・・・」

そんなこんなで、ノートは置き去りなままに見るか見ないかで大激論。仁王は相変わらずエロい内容を期待し、赤也は魔人がどうだの騒ぎ出し。冷静な面子はただの悪戯だと呆れ、ジャッカルと真田はわりと外から傍観していた。

「あーもうっ!そんなにもめるくらいなら見れば良いじゃん!見ても損はないんだし!」
「それお前が見たいだけだろぃ!」
「いいじゃんいいじゃん。よーし早速見てみよー!」

意気揚々とページを捲った瞬間、それまで騒いでいたメンバーが落ち着き、ノートの方に視線をよこす。中にはこれまたきっちゃない字で、日記風にこんなことが綴られていた。

「○月×日。テニス部に入部して2ヶ月。幸村先ぱいは今日もキビしいっす。うっかりボールを幸村先ぱいの方に飛ばしちゃった田中がいびられてて、見るにたえないって感じ。今日は特にイライラしてたみたいで、様子を見てた俺の方にもとばっちりが来そうになって危なかったっす。  ・・・・・・だって。早速だよ幸村先輩」
「は?なにかな綾乃^^」
「すいませんでした部長」
「・・・なんか、闇っていうからどんなもんかと思ったけど、これただの後輩の日記じゃねぇか。1年か2年だろ、これ書いたの」

ブン太の言葉にみんながうなずく。もうちょっと期待してたんだけど、この程度か。つまらないなぁ。

「えーっと・・・続き。○月△日。今日は、真田先ぱいが吉田にゲンコツをくらわせてたっす。俺も何度もくらったことがあるけど、あの一撃はプロレスラーよりゼッタイやばい!頭がしびれて、すっげーグラグラする。吉田はその日ずっと頭を冷やしてた」
「あぁ、たしかに。それはわかる気がするぜよ」
「副部長のゲンコツ、めっちゃ痛いっすもんねー」
「赤也、それはお前が普段きちんとしていないからだろう!たるんどる!」
「うわわわっ!?す、すいませんって!」

赤也が殴られそうになっていた。あはは、どんまい赤也。

「△月○日。仁王先ぱいがパッチンガムで丸井先ぱいにいたずらしかけてたっす。丸井先ぱい、一日に何回も引っかかっててちょっとバカみたいっすね。とか言ってたら俺も引っかけられて、ちょっと悔しいっす・・・。  だってよ仁王、ブン太」
「あー、そんなこともあったな」
「ブンちゃん、これは現在進行形じゃろ?一昨日も騙されとったくせに」
「ブンちゃん言うな。 別に騙されたくて騙されてるわけじゃねぇんだよ」
「ブンちゃんは馬鹿じゃからな」
「馬鹿言うなよぃ!!」
「えーっと・・・次。△月△日、丸井先ぱいの今日のおやつはポッキー5箱とガム3ケースとチョコパンとアップルパイとチーズケーキと・・・・・・、うん。まぁ色々書いてあるよ」
「おいなんで省略するんだよぃ」

いや、読みたくなくなるだろう、この内容は。ぱっと見ただけでも、5行はおやつの内容について書かれているし。
そのあとも日記を読み進めていったが、ジャッカルが異常なまでに優しいが気苦労も多そうこと、暴きたいけどなかなか暴けない柳生の疑似紳士っぷり、柳のストーカー気質名情報網、そしてあとは私のこともつづられていて、怒ると怖いだの洗濯が下手だの料理はうまいけどなぜかドリンク作るのは下手だのと、ムカつくことが書かれていた。

「・・・腹立つ。すっげー腹立つこいつ」
「私も、侮辱された気分です」
「俺もなんかむかついたよぃ。綾乃に」
「私かよ!」
「俺も同感だね。まるで俺が悪者みたいな書かれかたをしていたページもあったし」
「いやそれはほぼ全てだと・・・「なにか言ったかい弦一郎?^^」いや、なんでもない」
「・・・だが、一体誰が書いたのだろうか?」

柳のもっともな疑問に、みんなが頭をひねる。なんとなく心当たりがあるような気はするのだが、靄がかかったかのようにわからないのだ。全員が沈黙したところで、

「あーーーーーーっ!!?」

突然赤也が叫んだ。みんなが一斉に赤也を見る。

「思い出したっス、それ、俺が1年の初めから2年の春くらいまで、こっそりつけてたテニス部ノートっスよー!!」

いやー、なっつかしいなー!
ひとり、笑顔になってノートを手に取る赤也。しかしそこで、当の本人も気がついた。「あっ」、と今更のような、はっとした声があがる。

「・・・赤也?」
「・・・・・・げっ・・・」


り出


そのあと、そのノートは赤也と一緒に処分されました。
――――――――――――
ギャグというよりほのぼの、ですね。
柳とジャッカルと真田の出番薄めですみません。

リクエストありがとうございました!

2012/11/16 repiero (No,77)


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