||睡眠快楽


それは、いやにリアルで扇情的な光景だった。
唇と唇がなまめかしく輝き、その間を銀色の細糸をつなぐ。突き上げるような快感と、肌の擦れる感覚。視界が何度もゆれ、今自分が何を考えているのかも定かではない。しかしその中にもはっきりとうつるのは、大好きな彼の姿。

その、優しくもどこか怪しい笑みを見つめ・・・、大きな衝撃と共に私は現実に引き戻された。

「あ・・・っふ・・・ぅ?」
「あーあ、起きてもうた」

夢から覚めてまもなく、感じたのは「彼」の存在と外気による肌寒さであった。ぼやっとした視界に恋人である蔵がうつりこむ。蔵はにっこりと笑み、私はその彼の姿に大きく目を見開いた。

「く・・・っっ!!?なんで、裸でっ・・・」

私の言葉に彼がクスリと笑う。私の肌を、つつ、と蔵の指がなぞった。びくりと身体が震え、そこで初めて自分自身も裸であることに気がつく。慌てて起き上がろうとすれば、ゆったりとその肩をベッドに押さえつけられた。

「ゃっ・・・、なにしてっ・・・」
「なにしてって・・・続き?」
「つづ、き・・・?・・・ぁ、」

記憶をさかのぼる。脳裏に浮かんだのは、蔵と情事をしていた時の記憶だった。寒いだ暖め合いたいだの文句を言われ、すっかり丸め込まれてしまった私は、デートの最中に一度自宅に帰った。それからなりゆきでセックスになり、その途中で何度か・・・その、イかされて、たぶんだが私は気絶した。そして目を覚ましたらこの状況。
たまらなくなって足を縮めるように動かした時、私は自分の股座がぐちょりと音を立てたのを聞いた気がした。

「え・・・?」
「ヤったばっかやから濡れてるのは当り前やん?」

にやぁ、とした笑みだった。
蔵が少し遊ぶように自分の指を交差させ、そしてそれを舌で舐め取る。私はまたも気が付いてしまった。蔵の指についた、白っぽい液体に。

「まさか私の寝てる間も・・・」
「あらら、気がついてもうた?」

蔵がまた笑う。私はそれにぽかんと口を開き、同時に恐怖した。ずり、と蔵から離れるように身体を縮めていく。それからもっと後退をしようとしたところで、

「っっ・・・たぁっ!!」

思いっきりベッドから落ちた。蔵が笑って私の方へと近寄る。私を引き起こし、改めてベッドへと座らせた。

「うぅ・・・」
「ったく・・・。綾乃はあいかわらずやな。悪かったって、もうせぇへんから」
「嘘!信用できないよ、蔵だし」
「蔵だしって・・・俺、そんなに信用されとらんかったんか・・・・・・」
「うん」

蔵ががっくりと肩を落とし、苦笑気味に私を見つめた。私はそれをおずおずと見返すが、突然両肩を掴まれ、ベッドへと押し倒された。

「やっ、なにすっ・・・」
「好きやで、綾乃」
「えっ・・・」
「続きはお前の起きとる時に・・・な?」
「!」


快楽


そう言って、蔵は私に唇を落とした。
――――――――――――
裏、難しいです。
リクエストありがとうございました!

2012/11/6 repiero (No,74)


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